平成16年第3回定例会・一般質問内容

04/10/05UP
1.教師の指導力向上について
 (1)教師の指導力向上について
 (2)教室のオープンスペース化
 (3)学校長のリーダーシップについて

はじめに
私は、民主党・横浜みらい市会議員団を代表して、
教師の指導力向上、市内米軍施設、財政見通し、組織風土の改革、ESCO事業の推進、以上5項目につきまして、中田市長ならびに伯井教育長に質問いたします。

1.(1)教師の指導力向上について
 まず最初に、(1)教師の指導力向上についてお伺いします。
 自分の子どもには、「できるだけ最高の教育を受けさせてあげたい」と、子どもを学校に預ける親の誰もが思うことであります。その大きな期待、願いに、横浜市の教育が応えるための、教師の指導力向上や、資質・能力の改善、そして、学校現場の責任者である学校長のリーダーシップが強く求められていますが、これらの対策についていくつか質問をします。

 まず、ひらかれた授業について、ですが、 来たる11月1日から6日までの間、地域の市民と学校との協働・連携のきっかけをつくり、「開かれた学校づくり」をより一層推進するために、「横浜市学校をひらく週間」が実施されます。
 私はようやくこのような取り組みが全市的に始まるのか、という感想であります。
 私も学校現場で教壇に立っていた経験がありますが、教師の多くは、本音の部分では自分の授業を他の人にあまり見られたくないし、また、お互いの授業や指導方法に対して、あまり干渉しあわないという暗黙のルールのようなものがあると思います。
 特に、経験と年数を重ねれば重ねるほどその傾向が強いと思います。
 今回の「学校をひらく」ということは、地域との連携、地域への学校の開放という観点から、地域の方々に広く学校を知っていただくということで重要なことと考えますが、一方で、とかくその閉鎖性を指摘される教師の教室の中でのありのままの姿を、地域や同僚の教師に対して公開し、そして研究、検証し合うことにより、教師の指導力・資質向上をはかるために、とても役に立つものと考えます。
 「学校をひらいていく」ということは、大きなコストがかかるわけでもなく、教師同士の学校現場での連携や、指導技術の継承をしていくきっかけにもなり、結果として、学校全体のレベルアップにつながっていくことと思います。1週間と言わず、今後どんどんと拡大していくべきだと考えますが、
そこで、 (ア)ひらかれた授業の必要性と今後の見通しについて、教育長の見解をお伺いします。

また、各学校でも様々な工夫をしながら教師の指導方法の改善や資質向上のために努力をしていると思いますが、多様化する子どもの状況や教育に対する保護者のニーズに対応するためには、より一層の研鑽が必要と考えます。    
そこで、(イ)授業の指導技術向上のため、どのように研修を実施しているのか、教育長にお伺いします。

教員の一層の指導力向上については、現在、各市立学校で教育活動にあたっている優秀な教員の活用も重要と考えます。
現在、国においては中央教育審議会で、子供に教えるのが素晴らしく、上手な教員をマイスター、即ち「名人」として校長と同様の待遇にしたらどうか、という検討が
なされているということを聞いております。
本市でも学級崩壊や指導力不足教員の問題が問われる中、独自の指導方法やクラス運営を確立し、日夜がんばっている現場の教師もたくさんいると思います。
人事考課制度とのからみや、表彰方法の検討など、導入に向けては課題があることは承知していますが、「横浜市では、がんばっている教師はきちんと評価をするんだ」という現場への1つのメッセージとしても、本市で先駆けて、ぜひ、(ウ)マイスター教員のような指導力に優れた教員の仕組みをつくり、研修の際、講師に活用するなどして、教員の指導力向上を図るべきと考えるがどうか、教育長にお伺いします。

○伯井美徳教育長の答弁
教育問題についてお答え申し上げます。
 まず、教師の指導力向上に関しまして、(ア)開かれた授業の必要性と今後の見通しについてのお尋ねであります。
 御指摘のように、授業を広く教員相互で研究し検証し合うことは、教員みずからが創意工夫を行い授業技術を向上させるという点で大変有効であると考えております。
また、保護者や地域の方々に積極的に授業を公開することによりましてさまざまな意見や要望をいただくことは、その後の授業改善に役立つものと考えております。
 先生からも御紹介いただきましたが、ことしの11月の第1週、これは教育文化週間でございますが、全市的な取り組みといたしまして保護者や地域の方々に授業の様子などを知っていただく、学校を開く週間を予定しております。私もその間、時間の許す限り学校現場をできる限り訪問していこうと思っておりますが、このような取り組みなどを通じまして、今後とも開かれた学校づくりを推進してまいりたいと考えております。

 (イ)授業の指導技術向上のための研修の実施についてでございますが、子供の学力向上のために教員の授業技術の向上は重要なことであります。このため、教育委員会主催の研修として、初任者研修、10年次研修など節目をとらえた研修のほか、教科等専門研修におきまして授業研究を重視した研修を行っております。また、各学校においても校内研修で授業研究を行うなど教員の指導力向上を図っております。

 (ウ)指導力にすぐれた教員をマイスター教員として処遇する仕組みの創設、活用についてでございますが、この点につきましては御指摘がございましたように、現在国におきまして専門職としての職の位置づけや評価処遇のあり方などの検討が中央教育審議会で行われているところでございます。本市といたしましては、このような国の動向を踏まえまして、横浜教育改革会議におきましてより望ましい学校の組織運営の視点から検討を進めてまいりたいと考えております。
 当面の取り組みといたしましては、すぐれた教育活動の実績を持ち、従来の勤務年数に基づく表彰制度とは別枠で、例えば卓越した指導方法、荒れた学校を立て直した管理職等々、優秀な教員の表彰、顕彰の制度につきまして、今年度中に実施すべく現在検討を行っているところでございます。ぜひ実施してまいりたいと考えております。また、今後、教員の指導力向上のため、これまで以上に優秀な教員を研修等の講師として活用してまいります。

1.(2)教室のオープンスペース化
 さて、ソフト面での充実とともにハード面でも教師の資質向上、指導力向上を支援できる取り組みが必要であります。
 本市では全国に先駆けて、「教室のオープンスペース化」を進めてきました。学校の教室ひとつとっても、生徒にとって何が一番かを考え、「子どもたちにこういう教育をしたいから、こういうオープンな教室がいい。」という理念がなければなりません。
 私が訪れた港北区の港北小学校では、子どもたちがのびのびと授業を受けつつ、学習意欲も高まったと聞いています。
 一方、教師の側もオープン教室での学習方法の工夫に励み、いい意味での意識変化があったと聞き、オープン教室での授業実践の成功例のひとつであると思います。
 そこで、教室のオープンスペース化について、いくつか質問いたします。
 これまで横浜市で教室をオープンスペース化した学校が11校あると聞いていていますが、改めて、(ア) 教室のオープンスペース化はどのようなねらいで実施したのか、教育長にお伺いします。

 施策には、必ず評価する面と課題となる面があると思いますが、港北小学校のように、子どもの学習意欲が高まったことや、教師の指導力が向上することは望ましいことであります。
 また、教室の仕切りがないということにより、結果として、日常的に教師間で授業方法等について気軽にオープンに研修し合うことができるのではないかとも考えます。
そこで、(イ)教室のオープンスペース化についての地域や保護者の評価について、教育長にお伺いします。

 校舎の改修の際にかかる費用について、オープンスペースの教室にする場合も、標準設計による従来型の教室にする場合も、コスト的にはあまり変わらないようなので、私としては、「学校を開いていく」という、本市の教育の方向性からも、今後、校舎の新築や改修の際の「教室のオープンスペース化」を積極的に進めていくべきと考えますが、(ウ)学校における教室のオープンスペース化を今後どう進めていくのか、教育長の考えをお伺いします。

○教育長の答弁
 次に、(ア)教室のオープンスペース化の質問でございます。教室のオープンスペース化は、教室の壁を取り払った空間を創出し、そのスペースを有効に活用した多様な指導を工夫することをねらいとしております。具体的には、複数の教員による指導や習熟度別学習など多様な学習や教育活動の形態が展開しやすくなるという効果がございます。

(イ)教室のオープンスペース化についての地域や保護者の評価についてでございますが、一部には、教室がオープンであるために学習内容によっては静かで落ちついた学習環境を保つ上で心配であるといった声も寄せられております。一方、先生が御訪問された港北小学校のように、現在オープンスペース化されている学校の多くの保護者からは、先ほど申し上げましたような多様な教育活動の形態が展開しやすく、その結果、子供の意欲や主体性をより一層感じることができるという声も聞いているところでございます。

 (ウ)教室のオープンスペース化を今後どう進めていくのかというお尋ねでございますが、オープンスペース化は、ただいま申し上げましたように多様な学習内容やチームティーチングなどの授業方法に柔軟に対応していくためにも必要なことと思っております。今後の施設整備に当たりましては、学校の意向や保護者の理解にも配慮しながら、改築等の機会をとらえ取り組んでまいりたいと考えております。

1.(3)学校長のリーダーシップについて
 次に、(3)学校長のリーダーシップについて、いくつか質問します。
学校の管理運営の責任者たる学校長には、多くの業務があることは周知のことでありますが、最も重要なことのひとつは、学校教育の基本たる、児童・生徒への教育を担う教師の指導力向上、資質向上に管理職としての役割をきちんと果たすことであると思います。
 そこで、(ア)学校長は、授業改善についてどのようなリーダーシップを発揮しているのか、教育長にお伺いします。

 学校教育を常に「より良くしていこう」という思いは、学校長をはじめ、現場の教師も同じであると思います、しかしながら、その思いは同じであっても、実際の学校現場にはいろいろな教師がいる中で、管理職という立場に立つ学校長は、市の教育方針や、自分の思いや考えを推進するために常に苦心していることも事実です。
 授業時間数確保のために二学期制を導入したとしても、毎回の授業で、チャイムが鳴ってもすぐに授業を始める状態にない学校現場があることも聞いています。
 各学校長は、それぞれのやり方で、現場の教師や教室での生徒の様子を把握していると思いますが、毎日の教職員の指導状況の客観的な把握や、いずれ導入される教員の評価制度に向けても、管理職たる学校長の校内巡視のしくみも大切であると考えます。
 そこで、(イ)学校長の校内巡視のしくみを整えることについて、何か方策があるのか、教育長にお伺いします。

 また、本市の教育目標の実現に向け、(ウ)今後、学校長が一層のリーダーシップを発揮できるために教育委員会としてどのように支援していくのか、教育長にお伺いします。

○教育長の答弁
 次に、(ア)学校長の授業改善についてのリーダーシップについてでありますが、各学校長には、わかる授業を目指した少人数指導や習熟度別学習など所属教員の指導力の向上や指導方法の改善にみずから率先して取り組んでいくべきであると考えております。具体的には、まず学校長みずから授業の状況を把握し個別に指導助言を行うとともに、校内での研修や研究の場を設定し、教員一人一人の意識改革や授業改善を図っていくべきであると考えております。

 (イ)学校長の校内巡視の仕組みを整える方策についてでありますが、学校長が授業の状況を把握して教員の指導力の向上を図ることは、その職務として大変重要であると認識いたしております。そういった観点から、学校長に対して日ごろから教室を回るなど授業の様子を把握するよう指導しているところでございます。
 今後は、先ほども申し上げましたように、授業などの教育活動がどのように行われているか保護者や地域にオープンにして、そういった中でそれに対して評価を受けることができるような仕組みについても検討してまいりたいと考えております。

 最後に、学校長が一層の(ウ)リーダーシップを発揮するための教育委員会の支援についてでございますが、これまでも長期休業日の設定や学校配当予算の弾力化等、学校長の裁量が発揮できる取り組みを進めてまいりました。また、指導主事の校長に対するバックアップとして学校運営や教材開発等の指導を一層強化してまいりたいと考えております。今後とも、教員の人事権や予算に関しての校長権限を拡大することなど、学校運営に当たっての校長の自主性、主体性を十分発揮できるための施策を推進してまいりたいと考えております。
 以上、御答弁申し上げました。

要望
私は、とにもかくにも、子どもの学力向上のためには、教師の指導力の向上、資質の向上が不可欠であると思います。

今後とも教育委員会がリーダーシップを発揮し、「横浜の公立の学校に通わせたい」と多くの市民から思われるような魅力ある学校づくりに向けて、そして、横浜市の教育目標の実現に向けて、なお一層がんばっていただきたいと思います。
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