平成16年第3回定例会・一般質問内容

04/10/05UP
4.組織風土の改革
5.ESCO事業の推進

4.組織風土の改革について
 次に、組織風土の改革について、質問します。
9月10日に発表された副市長の依命通達によれば、「横浜リバイバルプランは、平成18年度に計画期間の最終年を迎えるため、17年度は、改革の輪をさらに広げ、それを連鎖させ成果に結びつけていく必要がある」としています。
 また、その中で、「改革とは、時代の変化や市民満足度に応じ、仕事の仕組みや制度を見直し、変えていくことです。事業や業務を考える上で、常に将来を見据えるとともに、局区・事業本部の改革推進委員会を中心に自らの仕事を足元から見つめなおすことを習慣づけるなど、改革が「当たり前」に行われる職場風土づくりを進めていきます。」と、明記しています。
 横浜市では、全市をあげて、改革推進のため、全職場で「民間度チェック」という取り組みを進めています。
 これはあらゆる事業を一から見直し、ともすれば、お役所仕事であるとか、非効率であるとか、民間の感覚では、考えられないような、おかしなことは変えていこう、組織風土改革を進め、真の改革を実現していこうという、決意であると理解しています。
 横浜市役所の中でだけ通用しても、納税者である市民の目から見たら、おかしいことは、変えていく。
この当たり前のことが、実は、まだまだ、できていないのか。あるいは、横浜市の組織風土を大きく変えていくために行わなければならないことだとわかっていても、実際には行われずに、結果として、組織風土改革が、「掛け声だけに」なりかねない、そのような問題もあるのではないでしょうか。
 最近、多くの市民から、「区役所の窓口の対応がよくなった。」という声を聞きます。市の多くの職員の中には、その方針を正面からとらえ、前向きに改革に取り組もうとする意欲や意識が確実に芽生えているように思います。 
 しかしながら、個人の意識を変えるだけでは解決しきれない課題もあるのではないでしょうか。 
 それらは、民間企業で働くサラリーマンのような失業への不安がないこと、また、長い時間の中でつくりあげられた職場風土、さらには、労働組合との関係、などがあげられると思われます。
 例えば、本市では、公務員の組合活動について、法律で定められた「適法な交渉」に加えて、条例で「交渉の準備行為」などを追加し、勤務時間内の広範囲な組合活動を認めています。組合活動をやっているその時間にも給与が支払われているため、結果として、市民の税金によって、役所内の組合活動が支えられている、という指摘を市民の方々からされることもあります。
 言うまでもなく、公務員というのは全体の奉仕者であり、その時間内のすべては、職務に専念することが義務付けられています。
 民間では、ノーワークノーペイは常識になってきています。
 従業員が、勤務時間中に賃金カットを受けることなく、適法な交渉以外にも広範囲にわたって組合活動を認められているということは、民間ではありえないのではないでしょうか。
 横浜市が、このような制度を改めようとしないのであれば、横浜リバイバルプラン17年度推進方針で掲げる、改革が「当たり前」に行われる職場風土づくりに、本気で取り組む姿勢があるのだろうかと、良識ある市民は疑問を抱くのではないでしょうか。
 横浜リバイバルプランを推進していく上で、長年の労使慣行を見直し、タブーを恐れず、時代にあわない不適切なものがあれば、勇気を持って変えていく、このことが、まさに求められていると思うのであります。
 そこで、副市長の依命通達の目標を達成する観点から質問いたします。

(1)勤務時間中に給与を受けながら組合活動を行っている総時間数、取得者数、金額に換算した額など、そもそもその実態はどのようになっているのか、お伺いします。

また、このたびの横浜リバイバルプランの平成17年度推進方針でも、「市民サービスの最前線を重視する」とあります。
そこで、(2)組合職免が法律上認められているとしても、本市の職員は市民サービスの最前線の仕事をしており、市民や児童生徒に対して影響を及ぼすような事態があるとすれば問題があると思いますが、市長の見解をお伺いします。

 このような社会・経済情勢が変化し、財政的にも極めて厳しい中で、平成18年度には横浜リバイバルプランを達成しなければなりません。そのためには、このような時代にそぐわないものは見直していく必要があると思います。
 他都市においても、このような制度の見直しが行われてきていると聞いています。
 そこで、(3)ノーワークノーペイの原則、労使相互不介入の原則、勤務時間外組合活動の原則という原点に立ち返り、本市においても、正すべきは正す、改めるべき点は改めるために、条例や規則、職免基準を見直すべきであると考えますが、市長の見解をお伺いします。

中田宏市長の答弁
 続いて、組織風土の改革についての御質問をいただきました。
 (1)勤務時間中に給与を受けながら職員団体の活動に係る職免、いわゆる有給組合職免を取得している状況についてでありますけれども、市長部局で申しますと、平成15年度1年間では総取得日数は1万8,872日、取得者は6,373人、平均取得日数は取得者1人当たり年間3日程度となっております。なお、平均時間単価で試算いたしますと年間約3億2,970万円となっているところであります。

 (2)職員団体の活動に係る職免についてでありますが、地方公務員法第55条の規定によりまして、適法な交渉については勤務時間中も行うことが認められております。職免の承認に当たっては、各所属長が職免遅参早退等承認簿によってあらかじめ申請させて、有給職免基準に基づいて職務に支障のない範囲で許可しているところであります。厳しい財政状況の中で横浜市も今そのかじ取りをしていかなければならないわけで、市民にもさまざま御理解をいただく案件があるわけであります。そういう意味では今後とも市民の理解が得られるような市役所の組織としてのあり方というものに向けて適正な運用に努めていくことが必要であると考えております。

 (3)職員団体の活動に係る職免制度の見直しについてでありますけれども、まずは現行の条例や規則、職免基準に基づいてより適正な運用を行っていくということをしっかりと進めていく必要があると考えております。その上で、大山議員がおっしゃったとおり、ノーワークノーペイというのはもちろん大原則だと思います。体にハンディを持っているとか、なかなか勤務できないそれぞれ固有の事情があるというところに対する配慮は別として、そうでない限り、もちろんそれは大原則であります。そういう意味では、そのことを十分念頭に置いていかなければならないと思っております。時代の変化を見据えて見直す必要があるものについて見直しをしていく考えであります。
 これは今週も既に発表した案件で、議員の皆さんも御承知をいただいていると思いますが、退職時特別昇給についても横浜市は17年の1月からやめることといたしました。退職するときに特別昇給という名をかりて、ほぼ全員が上がっている。平成15年度の例でいうと、最後の一けたが合っているかどうかわかりませんが、807人の対象者に対してたしか801人適用になっているというような数字だったと思いますけれど
も、五、六人の人たちだけが特別昇給にならなかった特別な人なのです。どちらが特別だかよくわからないわけです。そういう状態で退職するときはみんな一律に一回給料が上がって、それで退職金を支払っていくやり方は通用しないわけであって、横浜市は来年の1月からはこれを廃止することにしました。ですから、必要に応じてこれからもそうした見直しはやっていくつもりであります。

5.ESCO事業の推進について
最後に、公共建築物の省エネルギー化と維持管理費の低減をはかるため導入された、
ESCO事業について、質問します。
資源エネルギー庁の資料によれば、産業部門においてはエネルギー消費が横ばいですが、運輸部門や民生部門、なかでもホテル、病院、ビル、官公庁などの民生業務部門については、大幅に増加しており、今後も増加が見込まれ、その対策が急務と言われています。
この理由として、既存建物に対する省エネルギー対策がかなり遅れている実態があげられています。
そのため、国においても省エネルギー対策費の増額などを予定しているところと聞いています。
一方、350万市民を抱える横浜市として、本市の事務および事業に伴う温室効果ガスの排出量は、横浜市全域から排出される温室効果ガスの5%を占めていると言われ、市として一層の省エネルギーの推進を自らが率先して進めるべきと思いますが、厳しい財政事情の中で、どのように工夫をして進めるのか、市長の方針に期待をするところです。
そこで、事業者を募って、その事業者の資金とノウハウを活用しながら、設備更新に係る初期投資もなく、省エネルギー化と維持管理費の低減をはかることのできる、いわゆるESCO事業に大変注目しています。
全国的にも大きな効果を上げている事業手法と聞いており、環境に配慮した都市作りに向けて大いに活用していただきたいと思います。
 その第一歩に、モデル事業として済生会横浜市南部病院にESCO事業を導入したと聞いていますが、まず初めに、(1)南部病院ESCO事業の進捗状況と光熱水費の具体的な削減効果についてお伺いします。

 次に、今年度の予算で、横浜型環境行動の実践の中に、「横浜市公共建築物ESCO事業導入計画策定」が挙げられており、現在、34の既存公共建築物について調査を実施中とのことですが、その建物の光熱水費は年間総額で約26億円もかかっていると聞いています。
 これらの施設の内、ESCO事業に適する施設について事業を実施することで、大幅な経費節減と同時にエネルギーの削減などが期待できるものと思います。  
 そこで、(2)現在策定中のESCO事業導入計画の進捗状況について伺います。
また、実際にESCO事業を導入した場合、どの程度のエネルギー削減効果を見込んでいるのか、その目標値をお伺いします。

 今後の実施見込みについては、導入計画によって、道筋をたてる訳ですが、これをいかにして実施するかが、重要であると考えます。
 そこで、(3)南部病院に続く事業として、どのように考えておられるのか。さらに、今後の取り組み方についてお伺いします。

中田宏市長の答弁
 最後に、ESCO事業の推進についての御質問をいただきました。
 (1)南部病院ESCO事業の進捗状況についてでありますけれども、本年3月に最優秀事業者が決定した後、事業者において詳細設計が行われて、8月に事業者と南部病院との間で契約が締結されました。現在改修工事に着手しておりまして、来年の4月からESCOサービスを開始する予定であります。
 光熱水費の具体的な削減効果についてでありますが、現在年間約2億7,000万円の費用がかかっておりますが、ESCOサービスを導入いたしますと削減額は年間約5,000万円となる見込みであります。この金額を率であらわしますと約18%の削減効果となります。

 現在策定中の(2)ESCO事業導入計画の進捗状況についてでありますが、外部委員による策定委員会を設けて7月から検討を始めています。現在、建物の省エネルギー診断を実施しておりまして、12月を目途にESCO事業に適した建物について導入計画を策定いたします。また、実際にESCO事業を導入した場合のエネルギーの削減目標でありますけれども、省エネルギー率で申し上げますとおおむね10%程度を想定いたしております。

 (3)南部病院に続く事業についてでありますが、ESCO事業の導入計画の策定を受けて、その中でも省エネルギー効果の高い施設を選択して、今年度内にそれらの施設を対象に参加事業者の公募を行い、事業者を選定する予定であります。
 今後の取り組み方についてでありますけれども、大山議員がおっしゃったとおり、ESCO事業から生まれる効果は大変に大きなものを私も認めるところでありまして、そういう意味ではESCO事業が民間の力を利用して省エネルギー、コスト縮減、さらには地球温暖化への対応が可能となるいろいろなメリットがある事業手法だと考えておりますので、環境行動都市横浜の創造に向けた取り組みの一つとして、今後とも積極的に導入を図ってまいりたいと考えているところであります。

要望
 ESCO事業は、民との協働事業であり、今回策定した導入計画に添った計画の事業化は、本市にとって省エネルギー、地球温暖化、コスト縮減、業界にとっても経済効果等が
 期待できるものです。今後も積極的な事業化を大いに期待しております。
 また、ESCO事業に適さない建物の使用エネルギーの削減に向けても、引き続き、意欲的に取組んでいかれることを希望をします。

 以上をもちまして、民主党・横浜みらい市会議員団を代表しての私の一般質問を終わります。
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