平成20年03月05日 20年第1回定例会

08/03/22UP

平成20年度予算第一特別委員会(病院経営局関係)
平成20年3月5日

 3月5日、平成20年度予算第一特別委員会局別審査(病院経営局関係)で質問しました。質問項目は以下の通りです。
 1 脳血管医療センターについて
 2 医師をめぐる環境について


○大山委員
 民主党ヨコハマ会大山正治です。田中委員に引き続き、どうぞよろしくお願いします。
 まず、脳血管医療センターについて質問します。
 脳血管医療センターでは、17年度、18年度と医師が十分確保できなかったことにより、病床利用率も年々下がり厳しい経営状況となっていましたが、まず、17年度、18年度と20年1月までの常勤医の数と病床利用率についてどのように推移してきたのか、伺います。

○原病院経営局長
 常勤医の数は、17年4月は25人、18年4月は17人、19年4月に19人、同年6月と9月に1人ずつ採用して、現在21人となっております。
 それから、病床利用率は、17年度が78.3%、18年度が67.5%、19年度の上半期71.2%でございましたが、この20年1月は82.4%まで上昇してきております。

○大山委員
 次に、19年度も3月になっていますから、20年度4月当初の医師の状況も確定しつつあると思います。来月、20年4月の常勤医で新たに増加する診療科と医師の確保見込みはどうなのか、また、病床利用率の目標はどう考えているのか、伺います。

○原病院経営局長
 神経内科の医師を2人、放射線科の医師1人を新たに確保できる見込みとなっております。
 また、病床利用率は92%を目標といたしております。

○大山委員
 来月から新たに神経内科で2名、放射線科で1名を確保できるとの見込みのことですけれども、脳血管医療センターとして今後特にどのような診療科の医師を確保する必要があると考えているのか、また、どのくらいの医師が必要と考えているのか、伺います。

○原病院経営局長
 麻酔科医は現在1人勤務をしておりますが、安定的な運営のためにはさらに1人麻酔科医を確保したいと考えております。
 また、ほかの診療科についてもまだ十分な状況ではありませんので、非常勤医師を活用しながら、引き続き常勤医師の確保に努めてまいりたいと考えております。(私語する者あり)

○大山委員
 次に、脳血管医療センターには多くの特別室がありますが、特別室について、その単価と利用状況についてどのようになっているのか、伺います。

○原病院経営局長
 特別室の単価と20年1月までの利用状況についてでございますが、3万9,900円の特別室Aの利用率は9%でございます。2万1,000円のBの特別室が37.3%、1万5,750円のCは52.6%、9,450円のDは79.1%となっております。

○大山委員
 利用状況を見ますと、バブルの時代に計画されたためでしょうか、特に利用料が1日3万9,900円の特別室Aが2部屋あるそうですが、その利用率は低く、今年度は今おっしゃったように9%、それから昨年度、18年度は、私のいただいた資料によるとゼロと、一度も使用されたことのないという文字どおり特別な特別室となっております。
 そこで、利用を促進するため、A個室の利用料3万9,900円を見直すなどの取り組みをするべきではないのか、伺います。

○原病院経営局長
 脳血管医療センターでは入院期間が長いなどの特徴がございまして、個室を利用しやすい料金体系について今後検討してまいりたいと思います。

○大山委員
 小さな改革、改善を積み重ねまして、それを大きな改革につなげていくという面からも、こういった部分でもよろしくお願いいたします。
 さて、脳血管医療センターでは、今年度と同様、平成20年度も約29億円を一般会計から繰り入れることとされています。多額の繰り入れだと思いますが、29億円の繰り入れについてどのように考えているのか、伺います。

○原病院経営局長
 繰入金につきましては、17年度に整理いたしましたが、企業債の元利償還金に関する繰入金約9億円、脳血管疾患医療に関する繰入金約15億円など、地方公営企業法による基準に従って繰り入れております。

○大山委員
 答弁としてはそういうことだと思います。特別室のこともそうですが、今では、脳血管医療センターの計画がつくられたバブルの時代とは時代背景、社会状況が全く違ってきています。もう一度初期の設備投資の回収スケジュールも含め考え直す時期に来ていると思います。国においても、昨年の12月に総務省が作成した公立病院改革ガイドラインの中でも20年度中に公立病院改革プランを策定するように求められています。
 そこで、病院経営局としても新たな改善の考え方や目標を示すべきと考えますが、局長の見解を伺います。

○原病院経営局長
 20年度に公立病院改革プランの作成について検討いたしますので、その中で脳血管医療センターに関しても考えてまいりたいと思っております。

○大山委員
 脳血管医療センターの果たしている政策的医療等の役割を否定するわけではありませんが、冒頭にお聞きしましたように、ここ数年、脳血管医療センターは医師の確保も安定せず、病床の利用率の目標も達成されていません。こういう現状の中での毎年一般会計からの29億円もの多額の繰り入れは広く横浜市民の理解を得られにくいのではないかと思います。
 健康福祉局のほうの医療関係の予算を見てみますと、例えば緊急産科医療総合対策に1億8,000万円、小児科二次救急医療の充実に2億7,000万円、救急医療体制の確保に12億4,000万円と、厳しい財政状況の中、やりくりをしていますが、脳血管医療センターの繰入金29億円のうち、少しでもそちらに回せたら地域医療も救急医療ももっと充実するだろうと、健康福祉局を担当する佐々木副市長も思ったりするのではないでしょうか。
 そこで、公立病院改革プランの中で明確な位置づけを行い、患者さんも医療関係者も働いている職員の方々も、そして何よりも、ほとんど脳血管医療センターを利用しないにもかかわらず税金でもって支えている多くの市民からの理解を得られる改革プランを示し実行していただきたいと考えますが、副市長の見解を伺います。(「いい質問だ」と呼ぶ者あり)

○佐々木副市長
 脳血管医療センターは、横浜市における脳血管医療の充実のためにということで、その中心となるセンターとして設立をしたものでございまして、その目的を一層効果的に達成していくために、脳血管疾患の専門病院としての役割を担いつつ経営改革、改善の取り組みを進めまして、市域全体の医療水準の向上、そして市民への予防、啓発のセンターとして機能していくということで市民から御理解をいただくというふうになると考えております。

○大山委員
 次に、医師をめぐる環境について伺います。
 病院の経営改善や医師等の雇用継続を図るためには、経営の根幹となる医師を中心とした専門職が働きやすい環境を整えることが重要です。現状では、患者、家族からの度を超えた要望への対応や書類作成などの関連事務への対応に追われ、本来の診療に専念できない状況もあると聞きます。
 まず、患者さん及び御家族からの苦情、特に度を超えた要求や院内暴力というものがあるかと思いますが、その実態について、いわゆる院内暴力や患者、家族からの理不尽と思える要求と考えられるものとしてはどんな内容のものがあったのか、また、そういった事例は増加傾向にあるのか、両病院に伺います。

○渡辺市民病院長
 院内暴力につきましては、一つは、外来で待ち時間に関しまして受付職員が威嚇されて殴られそうになった事例、病棟のほうでは、突然大声で暴れ出した患者さんに医師がけられた事例、それから看護師さんが患者さんにかみつかれたりしたというような事例が発生しております。
 理不尽と思われます要求に関しましては、救急外来で、軽症の方なのですけれども、他の患者さんより早く診るように要求があるというような行為が見受けられております。
 全国的な問題だと思いますけれども、市民病院におきましても年々増加する傾向にあるのではないかと感じております。

○中山脳血管医療センター副センター長
 脳血管医療センターにおきましては、院内暴力でございますけれども、救急外来で飲酒をされてこられた患者さんが医師をけってしまったという事例がございました。
 それから、理不尽と思われる要求につきましては、治療が終わったにもかかわらず、家族が引き取りを拒むなどの事例が発生しております。
 脳血管医療センターにおいても年々そういう深刻な事例が増加する傾向にあると感じております。

○大山委員
 では、そうした院内暴力にはどのような対策をとっているのか、今年度に入っては何件くらいあるのか、対応マニュアルはあるのか、また、患者、家族からの理不尽と思える要求についてはどのように対応をとっているのか、伺います。

○渡辺市民病院長
 院内暴力の発生時に関しては連絡網とか応援体制などを定めております。それから安全管理マニュアルにそれを掲載し、職員に周知徹底を図っております。また、神奈川県警のほうから講師の方を招いて実践的な職員研修も実施しております。
 院内暴力の発生件数に関しましては年に数回程度であると認識しておりますけれども、今年度に関しましては実際に応援体制をとった事例はございませんでした。
 それから、理不尽と思われます要求への対応につきましては、まずは患者さんに病院の考え方を粘り強く説明し、そして納得していただくように努めるということが第一であると考えております。

○中山脳血管医療センター副センター長
 当センターといたしましても市民病院と同様に安全管理マニュアルに記載しております。それを職員全員に周知徹底を図っております。
 今年度におきましては2度ほどそういう事例がございました。これは院内放送によって職員の応援を求めるという体制をとっております。
 また、理不尽と思われる要求についてでございますけれども、当初はやはりきちんと聞いて、それでも本当に医療的、それからいろいろな意味で理不尽だと思った場合には、弁護士など専門家の意見も参考にして対応しているところでございます。

○大山委員
 わかりました。
 それでは次に、国は、病院に勤務する若年、中堅層の医師を中心に極めて厳しい勤務環境に置かれている理由の一つとして、医師が書類作成等の事務作業を行っていることも原因としています。このたびの診療報酬改定では、良質な医療を継続的に提供していくために、医師、看護師等がその専門業務に専念できるような制度が新たに設けられました。その中では、現在医師が行っている書類作成等の事務作業については、医師等でなくても対応可能なものがあるとして、いわゆるクラーク、事務補助者等に役割分担することに対する評価があります。
 そこで、受け付け等の業務を行っているクラークは現在も採用していると聞きますが、各病院何人ぐらいいて、どのような業務を行っているのか、伺います。

○原病院経営局長
 市民病院では14病棟のすべてに、脳血管医療センターにおきましては8病棟のうち2病棟にクラークを配置しております。
 主な業務でございますが、患者さんの入退院の対応、面会者の御案内、電話対応や診療関係書類の整理等を行っております。

○大山委員
 それでは、新たに評価されるクラークとこれまでのクラークとの業務ではどこが違うのか、採用する予定はないのか、伺います。

○原病院経営局長
 診療報酬改定の中で評価の対象となるのは、診断書の文書作成や診療録への入力など、医師固有の業務の補助に限定されております。今後詳細な基準が国から通知される予定となっております。医師の厳しい勤務環境の改善につきましては重要な課題であると認識しておりますので、国の考え方も踏まえながら検討を進めてまいりたいと思っております。

○大山委員
 医療現場は忙しいと言われますが、気持ちに余裕を持って、本来業務である患者さんへの診療行為に専念していただくことが安全、円滑な医療サービスの提供につながり、よりよい診療が行われ、結果的に経営向上にもつながっていくものと思います。ぜひとも事務補助者の採用の検討をお願いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。


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