平成22年9月8日 平成22年第3回定例会

10/09/21UP

平成22年第3回定例会
平成22年9月8日

 9月8日、平成22年第3回定例会で一般質問しました。質問項目は以下の通りです。

質問項目は以下の通りです。

 1 生物多様性について
 2 方面別学校教育事務所について
 3 35人学級となった場合の優秀な教員の確保について
 4 子どもの教育環境(暑さ対策)について
○大山委員

1 生物多様性【環境創造局】

まず、生物多様性について、伺います。
今年は、10月に名古屋市で、「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」が開催されます。このようなタイミングを生かし、「環境モデル都市」である横浜市でも、生物多様性について、大都市のモデルとなるような取組みを積極的に推進していくべきと思います。そこで、まず、

(1) COP10に向けて、主にどのような取組を行ってきているのか、伺います。

先般、兵庫県豊岡市の市長さんの「コウノトリの取組」の話を聞く機会がありました。コウノトリの人口飼育から45年、今や140羽以上に増えたそうです。当然、コウノトリが安定して暮らすためには、食物をとる場になる水田や河川、湿地に加え、卵を産んで、子どもを育てる場となる樹林地といった様々な環境がその地域に保たれていなければなりません。つまり、コウノトリと一緒に暮らすことのできる環境は、私達の生活の基盤となっている生態系が健全に保たれていると言えます。それは、行政と農家の方々、学校、専門家の方々、みんなが一緒になってコウノトリの成長に取り組んできた結果であります。
横浜市と豊岡市では、それぞれ環境も、前提となるものも違います。しかし、豊岡市では、市民が大きな夢を共有化し、それに向けて一体となって進めてきました。
このような市民協働が横浜でも実現できないか、期待をしています。
そこで、

(2) 生物多様性の取組における市民協働の推進についての市長の見解はどうか、伺います。

日本では、2008年に「生物多様性基本法」が制定されました。
この法律では、自治体は生物多様性の「地域戦略」を策定することが規定され、横浜市では、「横浜行動計画」を今年度に策定するとしています。
そこで、

(3)生物多様性横浜行動計画の特色は何か、伺います。

また、新たな中期4か年計画の中にも生物多様性が施策の柱の一つとして位置づけられています。
中期4か年計画では、施策や事業の「量」よりも、施策や事業を実施した結果発生する「成果」を重視して、計画期間中に達成を目指す指標を設定する、としています。
これを、生物多様性に置き換えると、「事業を実施しました。でも生物が増えたかどうかはわかりません」では、せっかくの取組みが成果として反映できません。

現段階では、生物多様性について、わかりやすい定量化した数値指標の設定が難しい  ことは理解しています。しかし、

(4)横浜市としても、生物多様性の進行のわかりやすい明確な指標を設定すべきと思うがどうか、伺います。

また、生物多様性については、環境政策のほか、まちづくりなど様々な分野と連携して取り組んでいく必要があります。
そこで、

(5) 縦割りにならず、道路局や都市整備局なども含む全庁的な体制づくりについて、どのように考えているのか、伺います。 


2 方面別学校教育事務所【教育委員会事務局】

次に、方面別学校教育事務所について、伺います。
わが国最大の基礎自治体である本市の教育委員会では、これまで約500校の市立小・中学校に対して、関内の事務局が指導、支援を行うという体制で取り組んできました。
そこで、本年4月には市立学校に通う児童・生徒に対し、よりきめ細かな教育を行うことができるように、方面別の学校教育事務所を設置しました。
同時に、平成20年度に112人であった指導主事の数も、今年度、22年度には149人に増員し、その体制を強化してきました。
設置後約5か月が経過し、実際に学校教育事務所の運営を行う中で、これまでに比べて、変わってきたところ、改善されたところも明らかになってきているのではないかと思います。そこで、

(1) 学校教育事務所設置後のこれまでの評価について、伺います。

また、その一方で大規模な組織の改編や、それに伴う業務執行方法の変更、あるいは学校と事務局に学校教育事務所が加わったことなどから、新たな課題も見えてきたのではないかと思います。
そこで、

(2) 現在の課題、今後の対策について、伺います。


3 来年4月から35人学級となった場合の優秀な教員の確保

次に、35人学級となった場合の優秀な教員の確保について、伺います。
文部科学省は、公立の小中学校できめ細やかな少人数指導を行うための「教職員定数改善計画(案)」を8月27日に発表しました。来年度から段階的に教職員を増やし、1学級あたりの上限を40人から35人に引き下げ、児童・生徒一人ひとりと向き合う余裕が
持てると思われますので、35人学級は、ぜひとも実現してほしいと思います。
ただ、実施に向けては、様々な課題があると考えます。
まず、ソフト面での課題として、教員数の増員による人材の確保と質の維持が考えられます。
文部科学省の計画では、小学校1、2年生では将来的に30人学級も視野に入れており、来年度からの8年間で、最終的に全国で約1万9千人の教員が増員されると聞いています。
初年度の23年度には、小学校1、2年生を対象とした35人学級の実施が予定されていますが、現在選考中の来年度に向けての教員採用試験は、40人学級を前提としたもので、35人学級を見越したものではなく、これから来年4月までの間に多くの優秀な教員を新たに確保できるのか懸念しています。
そこでまず、

(1) 来年度に横浜市で新たに必要となる教員の人数はどれくらいか。また、いずれにせよ多くの教員の確保が必要になると思うが心配はないのか、伺います。

35人学級が実施されても、一方で、教える教員の質が低下すれば、何のための35人学級かということになります。大量に教員を採用することによって、その教員の資質が低下することのないよう、優秀な人材の確保に向けての努力がさらに必要となってきますが、臨時的任用の教員の確保にも苦労があるとされる現状で、

(2) 来年4月に向けて、必要となる教員の人材確保とその質の維持について、具体的にどのように行なうのか、伺います。

次に、ハード面での課題ですが、35人学級の実施で、1学級あたりの上限人数が引き下げられることにより、学級数も大幅に増えることが想定されます。
段階的ではありますが、将来的に小中学校全学年で実施されることになれば、現在の施設では教室数の確保が困難になるのではないかと考えます。
そこで、

(3) 教室数の確保などの環境整備をどのように行うのか、伺います。

これから来年4月までの間に、国、県とも連携を密にし、横浜市の子ども達のために優秀な教員を多く確保するため、その準備を進めていただくよう要望します。

4 子どもの教育環境(暑さ対策)

最後に、子どもの教育環境、暑さ対策について、伺います。
今年の夏の、6月から8月の日本の平均気温は、統計を開始して以降、113年で最も高く、横浜市でも猛暑日や真夏日、熱帯夜の数が観測史上最多となっています。
そのような状況の中、今年度は8月27日から多くの市立学校が授業を再開し、8月30日には市立小学校で体育の授業中、女子児童6人が熱中症の症状を訴え、病院に救急搬送されました。9月に入っても、連日の猛暑の中、学校で授業が行われています。
先ほど、飯田議員からも学校現場の話がありましたが、私も、昨日、港北区の篠原小学校と篠原中学校を視察してきました。
最初に訪問した篠原小学校では、雲のあいだから時折太陽がさす感じだったからか、    最上階の4階の教室で、12時15分の時点で、32.5度が最高でした。
次に訪問した篠原中学校では、午後1時45分の時点で、同じく最上階の4階の教室で、34.5度が最高で、ここではじっとしているだけで私も汗が出てきました。
 しかし、昨日は、港北区内も風が強く、校舎内にも風が吹き抜けていましたので、まだ先週よりはましだったようで、中学生からは、「先週、来てくれたらよかったのに」と野次を飛ばされました。
また、先生達からは、「今日が34.5度だったら、先週は確実に36度以上はあっただろう。」とか、「8月27日からずっと猛暑で生徒の集中力が散漫になり、授業に集中させるのが本当に大変だった。」などの声が寄せられました。
一方で、文部科学省が定めている「学校環境衛生基準」においては、教室の温度は、30℃以下が望ましいと定められています。
そこで、まず、

(1) 今年の夏の暑さは、児童・生徒の学習環境にどのような影響があったと認識しているのか、伺います。

また、
(2) このような状況の中で、各学校では具体的にどのような暑さ対策を講じているのか伺います。

今年は記録的な猛暑でしたが、来年以降も、地球温暖化の影響もあり、暑い夏がやってくることは予想されます。最後に、

(3)今年の夏の異常な暑さをきっかけに、教育委員会としても、まずは今年の夏の学習環境がどうであったのかを検証し、夏の暑さ対策について、東京都や川崎市など他都市の例も参考にし、エアコンの設置も含め、総合的に何らかの対策を講ずるため、真剣に調査、検討をするべきと思うが、教育長の見解を伺います。


○市長
 大山議員の御質問にお答え申し上げます。
 生物多様性について御質問いただきました。
 COP10に向けた主な取り組みについてですが、まずは多くの市民や企業の皆様に生物多様性を知っていただくことが重要と考えています。そのため、環境行動フォーラムなど市民参加のイベントの開催や動物園での環境教育の実施、また、多くの皆様から御応募をいただき、キャッチフレーズ「ハマが好き だから守ろう いのちのゆりかご 森 川 海」を作成しました。また、私は、COP10に関連して開催される生物多様性国際自治体会議に参加し、横浜市水と緑の基本計画と生物多様性という演題でプレゼンテーションを行います。横浜の生物多様性の取り組みを国内外へしっかりとアピールしていきます。
 市民協働の推進についてですが、G30や150万本植樹行動など、地域の課題解決のためには市民の皆様の活力が不可欠です。また、生物多様性についても、里山を守り育てる取り組みなど、市民の皆様の主体的活動が支えていると言っても過言ではありません。こういった市民協働の力という横浜の強みを最大限生かし、生物多様性に取り組んでいきます。
 生物多様性横浜行動計画の特色としては、里山を守るなどとともに、都心部での海や川、緑の活用など再生、創造に取り組んでいくこと、また、水と緑など豊かな環境を積極的に広報し横浜の魅力づくりとすること、広く市民や企業の皆様の環境活動を推進することなどでございます。この行動計画により、横浜の生物多様性を守り育てるとともに、多くの市民の皆様が生き物とともに生活しているという意識、さらに、ライフスタイルの普及、定着につなげていきます。
 生物多様性の指標を設定することについてですが、現在も河川や海では定期的に生き物の調査を実施し、観察される生き物により水質の評価を行っています。御指摘の指標については、生物多様性の取り組みを市民の皆様へわかりやすく伝えていくべきとの御提案と認識しており、私もそのことは大切であると考えています。行動計画の策定において、こういった点についても専門家の方々の御意見もお聞きし、十分に検討していきます。
 体制についてですが、生物多様性の取り組みは、地球温暖化対策と一体となって進めるとともに、まちづくりや文化、教育など多岐にわたる分野との連携も必要です。私自身、リーダーシップを発揮し、市を挙げて取り組みます。
 残りの質問については教育長より答弁いたします。
 以上、御答弁申し上げました。


○教育長
 学校教育事務所の状況について御質問をいただきました。
 学校教育事務所設置後のこれまでの評価についてでございますが、昨年度までは指導主事が1校当たり年間2回程度の学校訪問を行っていたわけでございますが、今年度からは5倍の10回程度の訪問を実施してございます。こうした取り組みによりまして、各学校の状況、課題、あるいは要望について、これまで以上にきめ細かく把握できるようになったと考えております。学校からも、学校経営、児童生徒指導の問題、教職員の育成などに迅速かつ丁寧に対応してくれたなどの声が数多く届いているところでございます。
 続きまして、現在の課題と今後の対策についてでございますが、学校教育事務所は、学校の教育課程や学校経営等を的確、迅速かつきめ細かく支援することが設置の趣旨でございますので、その機能をさらに高めていくことが課題と考えております。例えば学校訪問で把握した情報をもとに、今後、的確な人事配置につなげていくことなどが考えられるかと存じます。今後とも学校と学校教育事務所、あるいは関係課がこれまで以上に情報を共有し連携を密に図ることで、各学校のニーズや課題に対してより一層充実した学校支援を進めるよう取り組んでまいります。
 続きまして、35人学級となった場合の優秀な教員の採用の確保についてでございますけれども、御質問をいただきました。
 新たに必要となる教員の人数とその確保についてですが、来年度は小学校一、二年生で35人学級となるわけでございますが、今年度の児童数で試算をいたしますと、最低でも約200人の教員が新たに必要となります。35人学級の実施に伴う教員の確保については、我々としても最大限の努力はしてまいりますが、国全体で対応すべき大きな課題であると認識をいたしているところでございます。
 来年4月に向けて必要となる教員の人材確保とその質の維持についての具体策でございますが、今後も優秀な人材を積極的に確保するため、特別選考の拡充などによる採用試験の工夫、改善や教員養成系大学との連携による採用説明会の充実など、より積極的な広報活動を展開するとともに、人物、能力重視の視点に立った採用試験を実施してまいります。また、採用後も、人材育成指標に基づき、初任者研修や経験に応じた研修を体系的に実施し、教員の質の維持を図ってまいります。
 教室数の確保などのハード面の環境整備への対策でございますが、35人学級となった場合の必要な教室数については、多くの学校では足りていると考えておりますが、学校ごとに今後使用状況を調査した上で、必要であれば整備を進めていくことになろうかと思っております。制度導入当初に不足するようであれば、学校関係者を初め、地域や関係部署と調整をしながら既存校舎内の普通教室以外のスペースを普通教室に転用することで対応してまいります。
 子供の教育環境における暑さ対策について御質問をいただきました。
 ことしの暑さの児童生徒の学習環境への影響に対する認識でございますが、学習に集中しづらく学習効果が低下している、子供へのより慎重な健康観察が必要となっていることなど、適切な教育環境とは言いがたい状況であると認識をいたしております。
 各学校における具体的な暑さ対策についてでございますが、一般的な校舎内の窓あけや扇風機による換気のほか、8月30日及び9月3日には学校長あてに通知を発出いたしまして、子供の熱中症事故防止の観点から小まめな水分補給やスプリンクラーの活用などを促しております。このほか、各学校の判断で水筒の持参や授業の短縮、運動会等の行事の時期変更など、柔軟に対応している学校もございます。
 ことしの夏の学習環境の検証と今後の総合的な暑さ対策についてでございますが、ことしの異常な夏の猛暑の中での学校現場の状況を踏まえまして、ソフト、ハード両面から総合的に調査をしっかりとしてまいります。

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