平成15年10月8日 平成14年決算第1特別委員会(環境保全局関連)

04/05/23UP

平成14年決算第1特別委員会(環境保全局関連)質疑
平成15年10月08日


◆(大山委員)
 初めに、環境科学研究所の業務内容について幾つかお尋ねします。
 環境科学研究所は、工場などからの大気汚染や水質汚濁といった産業公害がまだ改善が進まない昭和51年に、公害から市民の健康を守るため、先見性のある科学的な調査研究を担う施設として開設されたと聞いております。最近では、これらの産業公害も改善が進み、環境保全の課題も地球規模の課題や、この後の質問でもお伺いしますが、都市生活型の環境などへの時代の変化とともに、さま変わりをしております。これらの変化に伴い、環境科学研究所の調査研究内容も時代の要請を踏まえた新たなものがふえているものと考えております。
 そこでまず、環境科学研究所の平成14年度の調査研究内容のうち主な取り組みにはどのようなものがあるか、お伺いします。

◎(小野環境保全局長)
 それでは、お答えいたします。
 主な取り組みでございます。4点ほど申し上げますと、ヒートアイランド現象や酸性雨など地球規模の環境問題に対する研究、ダイオキシン類、環境ホルモンなど有害化学物質に関する研究、水や緑など自然と共生した街づくりの方策に関する研究、さらに、ディーゼル車を中心としました自動車排ガスに関する研究などでございます。

◆(大山委員)
 14年度の主な取り組みについてはわかりましたが、研究所の調査研究は単なる調査研究にとどまるのではなく、もちろん行政の施策に結びついていくことが求められます。そこで、研究所の研究成果は最近本市の環境行政にどのように生かされているのか、お伺いします。
◎(小野環境保全局長) 最近の研究成果の例で申しますと、ヒートアイランド現象に関する研究は、区役所の屋上緑化計画や道路局の涼風舗装の施工箇所の選定に活用いたしております。また、化学物質に関する研究は、ダイオキシン類や環境ホルモンの環境濃度の実態把握などに生かされておりますし、さらに、自然と共生した街づくりに関する研究は、源流域などにおきます生物の生息環境の保全や学校でのトンボ池づくり、こういったものにそれぞれ活用されております。

◆(大山委員)
 本市は、環境行動都市の創造を目指し、市民を巻き込んだ環境保全活動を展開しようとしています。そのためにも、研究所が市民に開かれ、その研究成果が多くの市民にも理解をされ、活用されることが何よりも重要であると思います。
 そういった観点から、研究所は市民の理解を得るため研究成果や活動内容などをどのようにPRしているのか、伺います。

◎(小野環境保全局長)
 研究所独自にホームページを開設しておりまして、活動内容や調査研究結果等をわかりやすく紹介いたしております。また、神奈川県、川崎市と共同で、毎年市民、事業者を対象に研究発表会を開催いたしております。さらに、6月の環境月間には研究所の公開でありますとか、市民とともに環境問題を考える場として環境セミナーを開催いたしております。このようにさまざまな機会を利用しまして研究所の周知に努めております。

◆(大山委員)
 研究所の研究成果や活動内容は、私にとってもそうでありましたが、市民にはなかなか見えにくいこともありますので、そのPRについては今後もさまざまな工夫をしていただき、より多くの市民の理解を得られるような努力をしていただきたいと思います。
 横浜市の財政状況も厳しい折、新たな調査研究を進めるに当たっても予算や人員に厳しい制約があることは否めません。しかし、そんな中でも市民の関心も非常に高い環境行政の課題を的確に解決していくために、基礎的なことをしっかり固め、行政施策への展開を支援する環境科学研究所の役割は重要であると思います。
 最後に、今後の調査研究内容の充実に向けてどのように対応していくのか、伺います。

◎(小野環境保全局長)
 これまでも大気汚染でありますとか水質汚濁などに関する基礎的な研究に加えまして、ダイオキシン、環境ホルモンやヒートアイランドなど時代の要請に応じまして市民生活に密接に関連した課題につきまして積極的に調査研究を行ってまいりました。今後も、安全な市民生活、快適な市民生活の確保に向けまして、関係局区との連携を強化しながら具体的な施策に結びつく研究を進めてまいりたいと考えております。

◆(大山委員) 環境科学研究所の主な取り組みとして先ほどの答弁にもありましたが、都心部の気温が郊外に比べて島状に高くなる、いわゆるヒートアイランド現象について次にお伺いをします。
 ヒートアイランド現象は、我が国でも首都圏など大都市特有の現象として広く知られるようになってきております。このような現象が発生する原因としては、空調システム、電気機器、自動車等からのふえ続ける排熱、緑地や水面の減少と、建築物や道路等の舗装面が増大して、地表面の人工化が進んでいることなどが挙げられています。ヒートアイランド現象の影響として、夏に熱帯夜がふえる、昼間の気温の上昇と、それに伴う熱中症の増加にとどまらず、光化学オキシダントの生成が助長されるなどが挙げられております。最近、国ではヒートアイランド対策を推進するため、因果関係等について研究を進めるとともに、省庁間で対策の検討を進めているとも聞きます。また、東京都など幾つかの自治体でも取り組みを始めているとも聞いております。
 そこで、このヒートアイランド現象に関する本市の取り組みについて幾つか質問をします。
 まず、ヒートアイランド現象の状況を把握するために横浜市でも調査していると聞いておりますが、ヒートアイランド現象の把握についてどのような調査が行われてきたのか、お伺いします。

◎(小野環境保全局長)
 平成10年度から市街地と郊外にあります小学校の3カ所で気温の連続的な観測を開始しております。平成14年度には観測地点を11カ所増設しまして14カ所で観測を実施いたしました。さらに、平成15年度には16カ所増設しまして、現在では合計30カ所で気温の連続観測を実施しております。

◆(大山委員)
 ことしの夏は冷夏でしたけれども、都会の夏が最近異常に暑くなったと多くの人が感じております。その暑さの客観的なデータなども含めて調査の結果どのようなことがわかったのか、お伺いします。

◎(小野環境保全局長)
 平成14年度の観測の結果でございますが、年間の各観測地点間の平均気温を比較した場合に、郊外に比べまして市街地の気温が最大で2.8度C高くなっていることがわかっております。また、年間の最高気温が記録されました8月のある1日でございますが、その1日の最高気温は、市街地と郊外の間で最大4.8度Cの差があったこと等が明らかになっております。このように本市におきましても、郊外に比べまして市街地の気温が高くなる、いわゆるヒートアイランド現象が確認をされております。

◆(大山委員)
 港北区では本年度区役所屋上緑化事業に取り組んでおり、この中でヒートアイランド現象の緩和もその効果として期待していると聞いております。
 そこで次に、港北区役所屋上緑化事業の概要について伺います。

◎(小野環境保全局長)
 この事業につきましては、区役所の屋上部分約500平方メートルでございますけれども、ここで実施するものでございます。その内容ですが、市民参加により花壇づくりや維持管理を行うこと、それから温度表示板を設置しまして屋上緑化の効果を市民に公開すること、さらに緑化の推進、ヒートアイランド現象の緩和等の取り組みに関する普及啓発を行うこと等を主な内容として進めております。

◆(大山委員)
 環境保全局も協力してこの事業を実施しているとのことですが、それでは、港北区役所屋上緑化事業で環境保全局はどのような役割を分担しているのか、伺います。

◎(小野環境保全局長)
 この事業の中で、環境保全局としましては、屋上のコンクリート表面の温度と屋上緑化部分の温度を計測することによりまして屋上緑化の効果を明らかにしてまいります。また、区庁舎内に温度表示板を設置しまして、屋上緑化の効果が具体的にわかるように温度の計測データを市民の方々に公開するなどの取り組みを行ってまいります。

◆(大山委員)
 では、現在この事業がどこまで進んでいるのか、その進捗状況を伺います。

◎(小野環境保全局長)
 これまで屋上緑化事業に参加される市民ボランティアの方々からの意見を取り入れまして事業計画を作成してまいりました。現在はこの計画に基づきまして緑政局が屋上緑化本体の工事を進めておりまして、工事の完成でございますが、10月末を予定いたしております。

◆(大山委員)
 先ほども述べましたけれども、屋上緑化についてはヒートアイランド現象の緩和が効果として期待されており、横浜市としても屋上緑化の効果について調査を実施したと聞いていますが、屋上緑化についての調査結果を伺います。

◎(小野環境保全局長)
 平成12年度に横浜市脳血管医療センターの屋上緑化施設で調査した結果を一例で申し上げますと、真夏の晴天時、最も地表の温度が上昇する時間帯におきまして、緑化場所の地中温度と近くのコンクリート表面の温度では25度C以上の差があったことが確認されております。このように、屋上緑化がヒートアイランド対策として効果のあるものと期待できることが明らかになっております。

◆(大山委員)
 ヒートアイランド対策についてはまだ解決すべき課題も多いと承知していますが、現在この屋上緑化のほかにもいろいろな手法が試みられており、本年度横浜市では道路路面の舗装を工夫して、保水した水の気化熱を利用して路面温度を下げる保水性舗装にも取り組んでいるとも聞いております。しかし、現在のところ本市でのヒートアイランド対策の取り組みは緒についたばかりであると思います。一層対策を推進する必要があると考えます。都会の夏は暑いねというたくさんの市民の声に横浜市としてどのようにこたえていくのか、最後に、このヒートアイランド対策について今後横浜市としてどのように取り組むつもりなのか、伺います。

◎(小野環境保全局長)
 今後、関係局区で構成します連絡会を設置いたしてまいります。その中で、効果的なヒートアイランド対策の知見等を集めまして、取り組み方針を検討してまいります。一方、ヒートアイランド対策につきましては、行政のみならず、晴天時の打ち水、あるいは住宅の緑化、こういった広く市民の方々にも取り組んでいただけることもございますので、今後市民参加の方策につきましても検討してまいりたいと考えております。

◆(大山委員)
 次に、最近ふえております環境問題に対する苦情に関連して何点か伺います。
 本市では建物の密集や混在化、近隣関係の変化などにより苦情の内容も変化していると思いますが、昨年度、飲食店などのにおいや資材置き場などでの屋外作業騒音についての苦情が何件あったのか、伺います。

◎(小野環境保全局長)
 昨年度、飲食店などのにおいの苦情でございますが、19件でございまして、資材置き場などでの騒音の苦情が36件となっております。

◆(大山委員)
 ことし4月から施行された横浜市生活環境の保全等に関する条例を制定するに当たって、これらの問題に適切に対応するため平成14年度に実態調査をしたとのことですが、飲食店のにおい及び屋外作業場騒音の調査はどのような目的で実施したのか、具体的に伺います。

◎(小野環境保全局長)
 飲食店のにおいにつきましては、経営の規模が一般的に小さいこと、民家が隣接している場合が多いこと、さらに、においにつきましての技術的な対策が大変難しいことがございますし、また、屋外作業場につきましても、不規則、不定期、あるいは一瞬の騒音であるということなどから、いずれも基準がございませんでしたので、その対策の指針や基準を定めるための調査を実施したものでございます。

◆(大山委員)
 課題を解決するために調査したとのことですが、これらの調査の結果を市条例にどのように反映したのか、伺います。

◎(小野環境保全局長)
 実態調査の結果に基づきまして、飲食店の臭気対策に係る新たに事業者が配慮すべき対策の指針でありますとか、においの参考基準値を定めまして市条例に盛り込んでおります。また、屋外作業騒音の対策につきましても、公害が生じていると認められる新たな判断基準などを定めまして市条例に盛り込んだものでございます。

◆(大山委員)
 市条例には飲食店のにおいや資材置き場の騒音について対策の指針や新たな基準が盛り込まれたとのことですが、市条例施行後は飲食店の臭気問題に対してどのように対応しているのか、また、その後の条例効果についてもお伺いします。

◎(小野環境保全局長)
 本年4月の条例施行後、飲食店臭気の苦情が生じた場合には、まず、事業者と市民との話し合いの場を設けまして、臭気測定などの調査も実施しております。同時に、技術的な助言でありますとか指導を行うなど、問題解決に向けましての調整役を果たしております。
 今後、市条例に基づきます新たな取り組みによりまして苦情の解決の方向に結びつけていきたいと考えております。

◆(大山委員)
 飲食店の臭気問題について市が問題解決の調整役を務めるとのことですが、同じく市条例施行後、屋外作業場の騒音問題に対してどのように対応しているのか、また、その後の条例効果について同じくお伺いします。

◎(小野環境保全局長)
 屋外作業場の騒音苦情につきましては、騒音測定を行うとともに、市条例に定めました新たな判断基準によりまして対策を講じるよう指導することといたしております。今後、従来解決が困難でございましたこれらの騒音問題が、設けました新たな基準に基づく指導によりまして解決されていくものと期待しております。

◆(大山委員)
 都市生活型環境問題の早期解決のために、事前に実態調査を行って、新たな基準や配慮事項などを定めたことについてはわかりました。今後も都市化が進んだ地域ならではの環境問題が多く出ると考えられます。これからも横浜市として先駆的に、そして迅速に取り組んでいくことを最後に要望しておきたいと思います。
 次に、先ほど別の委員からディーゼル車の運行規制について質問がありましたが、私も違う角度から二、三お伺いしたいと思います。
 ディーゼル車に対してDPFの装着がいよいよ義務づけられ、横浜市も国や神奈川県と協調しながら補助を実施しております。新聞報道によれば、DPFの製作をしているメーカーによっては生産が追いつかないなど問題があると言われております。このため、装着が間に合わない事業者が機種変更したいとの話も多くあると聞いておりますが、どのように対応してきたのか、また、10月以降の対応についてもあわせて伺います。

◎(小野環境保全局長)
 9月末までは、一たん申請を取り下げていただいた後に新たな機種により再申請を行っていただく、こういう対応をしてまいりました。しかし、10月1日以降につきましては、既に運行規制の対象となっておりますので、手続期間を少しでも短くするために、機種変更の手続だけで対応することといたしております。

◆(大山委員)
 メーカー側の原因で装着が間に合わない場合については八都県市確認証明書で走行できるように対応したと私も聞いております。いつまでそれは可能となるのか、お伺いします。
◎(小野環境保全局長) 確認証明書の有効期限でございますが、メーカーが定めたDPF等の装着完了予定日といたしております。この期限は、メーカーに対して早期の対応を促すために、最長でも平成15年12月末までとしております。

◆(大山委員)
 この9月、10月のいろいろな報道等の状況を見ていますと、それでも装着が間に合わないことも十分予想されます。その場合、どのように対応されるのでしょうか、伺います。

◎(小野環境保全局長)
 ただいま御答弁申しました最長でも平成15年12月末までといたしておりますが、今後とも八都県市で協調して、メーカーに対し装置の装着が年内に終了するよう働きかけてまいります。

◆(大山委員)
 私は、12月末までに対応できない状況もあるのではないかととても危惧をいたしております。当局におかれましては、八都県市の間でも連携をして、今後ともメーカーに対し早期装着が図られるよう要請をされることを要望いたします。
 次に、地球温暖化についてお伺いをします。
 ことしは、我が国では深刻な冷夏で、米の価格が大きく上昇するなど農作物にも大きな影響があったと言われております。一方、ヨーロッパなどでは記録的な熱波により、フランスなどにおいて数千人の人々が亡くなったと報道されています。このような大規模な地球規模の異常気象については、地球温暖化の一つのあらわれとの意見も多く、地球温暖化は世界各地で人々の生活に深刻な影響を与えています。
 幾つか質問がありましたが1つに絞ってお伺いしますが、この地球温暖化の問題、その対策については、たくさんの市民の関心がありながら、そのための日常生活においての市民一人一人の取り組みとなるとなかなかぴんとこないところがあると思います。温室効果ガスの排出量を減らすためには、市民との協働の取り組みが重要だと思います。本市として市民や企業に対しどのように取り組んできたのか、また、その成果はどのようなものか、この1点のみお伺いします。

◎(小野環境保全局長)
 平成13年度には、横浜市地球温暖化対策推進計画を策定いたしております。また、平成14年度には横浜市生活環境の保全等に関する条例を制定し、その中で温暖化対策計画書の提出を義務づけるなど、市民、事業者の取り組みを進めてきております。また、横浜市地球温暖化対策地域協議会を設置いたしておりまして、この5月には市民や事業者の取り組み、市民、事業者が行っていただくべき取り組みをまとめた温暖化防止アクションプランを策定いたしております。
 これらの取り組みによりまして、市民や事業者が行うべき温暖化防止への具体的な行動が示され、実践に移す段階に至ったものと考えております。

◆(大山委員)
 環境行政に関してお伺いします。
 環境行政に関しては、特に緑政局など他局とも深くかかわり、局区横断的な取り組みが必要なことは言うまでもありません。環境保全、環境を守るというと、どうしても受け身に聞こえがちなこともあります。私は、局の名前は環境保全局でも、今よりも積極的に環境を攻めて守っていくのだというような気概で頑張っていただきたいと思います。市民の皆さんにとっては、どの局が担当しているかどうかは関係なく、横浜市が環境行動都市として市民にとっての快適な過ごしやすい環境をつくる、守っていくことが大きな願いであると思います。
 最後に、これまで伺ってまいりましたヒートアイランド対策、都市生活型環境対策、そして地球温暖化対策など環境行政を進めるに当たっては、繰り返しますけれども、局区横断的な取り組みが必要不可欠と考えます。副市長の見解をお伺いします。

◎(前田副市長)
 ただいま大山委員から御指摘いただきましたとおり、環境行政につきましては、特に近年、地球環境などグローバルな問題が注目されており、その解決に向けまして全局区横断的な取り組みが求められております。例えば、地球温暖化対策について申し上げますと、全局区それぞれの特性を勘案しながら、温室効果ガス排出量の削減目標を定めた横浜市役所地球温暖化防止実行計画の達成に向け全庁一丸となって取り組んでおります。また、ISO14001の認証取得に向けて既に全局区で取り組んでおりますように、環境行政につきましては全庁的な取り組みが欠かすことのできない基本的な視点であると考えております。

◆(大山委員)
 今、副市長からも答弁ありましたISO14001の取り組みを含め、ほかの環境先進自治体におくれをとらぬよう、当局におかれましては市民と力を合わせて環境問題に果敢に取り組んでいただくよう意見として申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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