平成16年第3回定例会・一般質問内容

04/10/05UP
2.市内米軍施設
3.財政見通し

2.市内米軍施設について
 次に、市内米軍施設の返還、住宅建設の案件に関連して、質問いたします。
 昨年2月から、「神奈川県における在日 米軍施設・区域の整理等に関する日米間の協議」が開始され、7月の第2回会合の協議結果を踏まえ、国から「池子住宅地区及び海軍補助施設」の横浜市域における住宅等の建設が申し入れられました。
 それ以来、市長は、住宅の建設と施設の返還を一連のものとして国から申し入れられたことで、大変苦慮されたことと思いますが、市会の議論や、金沢区民をはじめとする市民の声を聞きながら、国への文書照会、防衛施設庁長官や防衛庁長官との意見交換、さらに小泉首相とも直接話をするなど、鋭意、国に対する取り組みを進めて来られました。
 私たち民主党・横浜みらい市会議員団は、これまでの市長の対応を評価しており、9月10日、市長に国との具体的なテーブルに着くよう、申し入れをいたしました。その立場から質問をいたします。

 はじめに、本来、安全保障や外交は、国の事務であり、自治体が関与することは難しいわけですが、この案件について、市長が、声明を発表し国に対して新たな提案を行うなど、リーダーシップを発揮し、米国との昨年の協議結果を変えさせるなど、国を動かしたことを評価しております。
そこでまず、(1) 市内米軍施設について、市長の国への取り組みの基本的な考え方をお伺いします。

 次に、この案件は、住民の価値観が多様である中で、18区の地域間の対立、地域内の対立が生じかねない、難しい要素を持った課題であったと考えます。そうした事態にならずに、ここに至っているのは幸いでありますし、金沢区の地元の方々の熟慮に頭が下がる思いです。
 市長もまた、横浜の各地域や、金沢区の地元への配慮があればこそ、ずっと苦悩してきたものと考えます。   
 そこで、(2)この案件について、市長は、横浜の各地域に対し、また、金沢区の地元に配慮して、どのような考え方で取り組んでこられたのか、お伺いします。

 今回の日米の協議結果において、返還については、池子住宅地区及び海軍補助施設の横浜市域の飛び地及び小柴の貯油施設の一部が、また、一部とされていた上瀬谷施設の全部が返還対象となりました。
 その結果、 市内米軍施設の、大半、70%を超える面積が、返還対象になりました。横浜の米軍施設返還の歴史の中で、まさに画期的なことと言うべきでありましょう。
また、返還以外でも自然環境の保全に配慮し、改変面積を池子住宅地区の横浜市域の半分以下に抑制するとされ、800戸とされていた住宅戸数が700戸に縮減されました。
これらを鑑みますと、これ以上はない結果と考えます。すなわち、さらに交渉すれば一層の結果が出るというものではない、と考えております。
 そこで、(3)市としては、この日米の協議結果をどのように受け止め、今後の国との具体的な協議にどう臨まれるのか、お伺いします。

中田宏市長の答弁
 大山議員にお答えを申し上げます。
 まず初めに、私には(1)市内米軍施設についての御質問をいただきました。
 国に対する取り組みの基本的な考え方ということでありますけれども、今般の米軍施設の案件については、施設返還と住宅建設を一連一括という形で国は提案をしてきたわけであります。これは、施設返還の原則から外れている。先ほども議論がありましたように、使っていない施設は全面返還を早期にするというのが日米間における合意でありますから、そういう意味においては住宅建設が条件になっているというのはおかしい。そのことを私は横浜市として国に幾度も主張してきたわけであります。
 ただ、国はそれに対して極めてかたくなであり、こちらからすればおかしな姿勢をとり続けておりました。この案件が外交、防衛という国の専管事項であるということが、簡単に言えばそうした主張のすべての前提になっているわけでありますが、私は外交、防衛案件というのは国の専管事項である、そのことをひっくり返そうとは思っていません。いやしくも衆議院議員の一議席を務めさせていただいた者として、そのことについて横浜市長として口を挟むつもりはありません。しかし、基地を抱えている自治体として、その件に関して国に対して意見を言っていく、このことはしなければならないことであると思って、主張をし続けてきたつもりであります。国同士の合意事項に対して横浜市が議論を投げかけるということも、例えば小柴の件もそうでありますし、市長声明という形で出した国に対する内容は、そうしたものを含んだ内容であって、そうした中で国をそのかたくなな姿勢から動かすことができたとすれば、それは意義があることだと思っております。

 (2)金沢区の地元を初めとする横浜の各地域への取り組みの考え方ということでありますけれども、昨年7月に国から施設返還と住宅等建設が一連一括のものとして申し入れられ、それ以来、住民の間の意見の違いなどから地域社会が分断されるような事態を招かないようにしなければいけない、そう思って、丁寧にこの件には取り組んできたつもりでございます。現在まで355万人の市民の方々がそれぞれの立場でお考えをいただいていることと思いますけれども、いたずらに対立したり紛糾したりというような事態が生じていないことは幸いだと思っております。
 また、30年以上金沢区において施設の返還を求めてきた金沢区民協議会に対し、清水副市長や総務局長など職員が出向いて状況を説明して御意見をいただくとともに、私自身も協議会の正副会長を通じて意見交換をさせていただきましたし、まさに地元の苦渋に満ちた御心情、地域の混乱を回避したいという思いをお伺いしてきたところであります。今後とも、この案件に関しては市域全体の視点というものも持ちながら、そして各地域への視点というものもあわせて持って取り組んでいかなければならないと考えているところであります。

 (3)協議結果についての御質問でありますけれども、住宅等建設については、防衛庁長官が削減は厳しいとの認識を示していた建設戸数について、新規建設分約400戸の4分の1が削減されて、根岸住宅の移設分約400戸と合わせて700戸程度に縮減されたということになります。また、施設返還については、市内米軍施設総面積の7割を超える返還が示されて、戦後本市の発展を妨げてきた接収という課題の解決に向けて―これはまだすべて解決には至りませんが、大きな前進であり、そこに意義はあるとは思います。まさに、戦後60年、その間まだこの件に関して横浜市はもはや戦後ではないということではなかったわけであって、長年の懸案を前進させなければいけないと考えて、横浜市にとって何がプラスなのかの判断をしていきたいと思っています。
 大山議員から、国との協議についての御見解を民主党・横浜みらいを代表してお伺いしましたし、先般も小幡団長が私を訪ねて、早くテーブルに着くようにというお話もいただきました。小幡団長におかれては金沢区選出ということで思うところも多いと思いますが、そうしたお申し入れをいただいたことにもありがたいと思いますが、先ほど来申し上げてきたとおり、本日の市会における御議論を踏まえて近々に判断をいたしてまいりたいと思っております。

3.財政見通しについて
次に、本市の財政見通しについて、質問します
 去る9月10日に平成17年度の予算編成方針と現行の税財政制度を前提とした、向こう3か年の財政見通しが発表されました。
それによれば、横浜市の財政を取り巻く状況は依然として大変厳しく、景気回復を反映して法人市民税で増収が見込まれるものの、市債及び地方交付税の減などにより、平成17年度も引き続き非常に厳しい予算編成を迫られることが推測される訳ですが、
そこで、まず、(1)17年度予算編成方針のポイントは何か、お伺いします。

 市長にとって、17年度の予算編成は、市税収入の減や公債費・扶助費などの義務的な経費や借入金等への対応額が、16年度予算発表時の「中期財政見通し」よりも50億円増えて、400億円もの収支不足を抱えての編成となります。しかし、 400億円という額は、前年も450億円の収支不足を解消してきたとはいえ、その解消は容易ではないと考えます。
そこで、(2)中期財政見通しによると、約400億円の収支不足額が見込まれていますが、どう解消していくのか、お伺いします。

 400億円もの収支不足の解消には、徹底した事業の見直し、特に行政内部経費の見直しや節減は不可欠だと思いますが、今年は「見直しの考え方」が改めて示されており、その中には、市民サービスに関係する事業の見直しや受益者負担の適正化など、市民に新たな負担を求めるような見直しも含まれているようです。
 ところで、事業の見直しの中には、「補助金の全面的な見直し」も含まれております。
そもそも補助金とは特定の事業や活動を支援するために「公益上必要があると認める」場合に支出されるものであるため、すべての補助金について、必要性や効果等の再点検を行い一層の適正化に努めるべきであります。
 時代の変化の中で、新しく出てきた市民の多様なニーズに対して、補助金をタイムリーに導入するためには、一方で、設立からある一定の時間が経過し、役割が小さくなった補助金を廃止したり、補助金額を削減したりする必要があると思います。
 しかしながら、補助金はいったんついてしまうと、特定の市民や団体の利益となる場合が多いことから、その金額や制度については硬直性が高く、担当局、課による補助金の見直しにはかなり限界があると思われます。
 そこで、例えば他都市の例として、新潟市では、補助金の「検討会議」を設け、財政改革の一環として補助金制度の改革に乗り出しています。
 千葉県我孫子市では、補助金は、公募された市民の方が選定していますが、特定団体の既得権益につながらないように、全て3年で打ち切っています。
 川崎市では、全ての補助金の一覧がホームページで公開をされております。
 私は、本市においても、このように補助金が、公益性やその効果について、一定程度チェックされる新たな仕組みが必要ではないかと考えております。
 徹底した情報公開と、外部委員会による横並びでの優先度の検討や、時限設定、公益効果の自己公表などであります。
そこで、(3)事業の見直しの中で、補助金の見直しについて具体的にどのように取り組んでいくのか。
 補助金の見直しのためには、更なる情報公開や、外部の検討委員会の設置、または、「補助金の適正な執行に関する条例」なども検討する必要があると思いますが、市長の見解をお伺いします。

中田宏市長の答弁
 次に、(1)財政見通しについての御質問をいただきました。
 平成17年度の予算編成方針のポイントについてでありますが、まず4点申し上げたいと思います。1点目に、17年度から向こう3カ年の中期財政見通しを示して厳しい財政状況を全職員で共通認識とした上で予算編成を進めるに当たっての5つの基本方針を示したこと、自律分権型の予算編成を進めるために各局区、事業本部に予算編成方針の策定を義務づけたこと、新たに区役所予算にも包括的な財源配分による自律分権型予算編成を導入したこと、予算編成において取り組む事業の抜本的な見直しの考え方を具体的に示したことなどが御質問をいただいた予算編成方針のポイントとなろうかと思います。

 (2)収支不足額の解消についてでございますけれども、まず歳入面を申し上げますと、歳入面については、国の予算編成や制度変更などに十分に注意を払って必要な財源の確保に努めること、負担の公平性の確保からも市税や国民健康保険料などの収納率の一層の向上に努めるとともに受益者負担の適正化を図ること、ホームページやタイヤホイールなど本市のさまざまな資産を活用した広告掲載など既成概念にとらわれない柔軟な発想によって新たな財源開拓に取り組むことなどが必要であると考えています。
 また、歳出面でありますけれども、緊急度、優先度に配慮して重点政策課題に対応した施策や事業に財源の重点化を図るほか、今回新たに示した事業の抜本的な見直しの考え方に基づいて該当する事業をすべて見直すことなどをやらなければならないと認識をいたしております。あらゆる方策を講じて収支不足の解消に努めていくということが必要だと気を引き締めているところであります。
 そして、こうした歳入歳出両面における取り組みを検討して、実施するに当たっては局区長、事業本部長を初めとして経営責任職が市役所の中でリーダーシップを発揮してもらわなければなりませんし、全職員が厳しい財政状況についてまずきちんと情報を共有して認識することがあって、その上でさまざまな知恵をそれぞれの現場から出してもらい、そして工夫を重ねていくことを通して収支不足解消に向けていきたいと思っております。

 (3)補助金の見直しについてでありますけれども、補助金は特定の事業や活動を支援するために公益上必要があると認められた場合に支出をしているわけでございますけれども、必要性や効果といったことについての再点検を行って一層の適正化に努めるように予算編成方針の中で既に指示いたしました。
 大山議員から御指摘をいただきましたさらなる情報公開や外部の検討委員会の設置といったことについても、今回改めてすべての補助金について抜本的な見直しを行いますので、その結果を検証しながら必要に応じて検討いたしてまいりたいと考えております。
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