平成16年10月19日 平成15年度決算第二特別委員会(交通局関係)

04/11/23UP

平成15年度決算第二特別委員会(交通局関係)
平成16年10月19日



1. 平成15年度交通事業決算関係
2. 市営バスの軽油の契約
3. バス運行改善システム
4. 市営バスの経営形態
5. 地下鉄駅構内や高架下スペースの活用
6. 横浜環状鉄道(中山〜日吉)建設関係

○大山委員
 初めに、平成15年度交通事業決算関係についてお伺いします。
 自動車事業と高速鉄道事業会計決算書を拝見しますと、自動車事業は乗車人員、乗車料収入は減少していますが、純損益が3年連続で黒字になっています。また、高速鉄道事業では乗車人員、乗車料収入の順調な増加により営業損益が2年連続で黒字となり、黒字幅も拡大しています。
 そこで、平成15年度決算について、自動車事業、高速鉄道事業それぞれの事業に対して交通局長はどのように受けとめているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 自動車事業会計につきましては、厳しい経営環境にある中で支出の抑制により前年度を上回る約17億円の純利益を計上し、またサービス改善、福祉、環境対策などに取り組みました。
 高速鉄道事業では純損益を前年度に比べて大幅に改善させ約85億円に圧縮し、また韓国での地下鉄火災を契機としまして他事業者に先んじて地下鉄の火災対策に取り組むなど施設整備を進めたほか、平成19年の開業を目指して横浜環状鉄道中山−日吉間建設事業の進捗を図りました。
 改革について市営交通事業への関心が高まる中で、両事業とも一定の成果を上げることができたのではないかと考えております。

○大山委員
 それでは次に、平成15年度に取り組んだ事業のうち成果が上がった取り組みを自動車事業、高速鉄道事業ごとに3点お伺いします。

○魚谷交通局長
 まず、自動車事業では、1点目として県条例のディーゼル車運行規制に全車適合するとともに低床バスの割合を52%まで高めました。2点目として桜木町駅前バスターミナルでのバスボランティアの試行実施で約200名の方に御参加いただきました。また、3点目として運営経費の削減目標額を上回る1億円の削減が達成でき、収支の改善を図ることができました。
 次に、高速鉄道事業では、1点目として13年度から順次拡大してまいりました駅ボランティア事業が鉄道の日実行委員会から日本鉄道賞特別賞を受賞、2点目として女性専用車両や全席優先席などどなたにも優しい地下鉄に向けた取り組みが実施でき、3点目としてバス事業と同様に運営経費の削減目標額を上回る削減が達成できたことが主な点でございます。

○大山委員
 それでは逆に、成果が上がらなかった取り組みは何か、3点お伺いします。

○魚谷交通局長
 まず自動車事業では、1点目は新設を予定していたバスの3つの路線につきまして地元の方々との合意が得られず運行に至りませんでした。2点目としまして社内事故が前年に比べ増加しました。また、バス乗務員の接遇サービスにつきましてもクレーム30%削減を目標にいたしましたけれども、達成できませんでした。
 次に、高速鉄道事業では、1点目としまして地下鉄駅務員の接遇サービスについて同じくクレーム30%削減という目標が達成できなかったこと、また2点目としましては地下鉄4号線中山−日吉間の用地取得についてすべての用地を取得することができなかったことでございます。地下鉄事業につきまして運営方針で目標達成ができなかったのはこの2点でございますけれども、このほかに4号線の川和車両基地内での汚染土について、地元の方々を初め市民の皆様への情報の公開が遅くなったことにつきましては深く反省し、その後できるだけ迅速な情報提供に努めたところでございます。
 以上でございます。

○大山委員
 今幾つか言っていただいた部分もあったかもしれませんが、成果が上がらなかった原因は何なのでしょうか、また、今後16年度に向けてどうしていくのか、伺います。

○魚谷交通局長
 バス路線の新設や4号線の用地取得につきましては、いずれも地元や地権者の方々との合意形成ができなかったことが原因でございます。これらにつきましては、16年度に向けましても誠意を持って真摯に話し合うなど、必要な解決策について見出していきたいと考えております。
 また、接遇サービスの向上につきましては、お客様の立場や視点でみずからのサービスを見直し改善していくための取り組みをサービス向上運動や研修等を通じて引き続き実施していきます。
 また、バス車内での事故防止につきましては、御高齢のお客様がふえている状況を踏まえ、高齢者疑似体験研修を積極的に展開しお客様の立場に立った運転を徹底して現在取り組んでいるところでございます。

○大山委員
 それでは次に、市営バスの燃料、軽油に関して伺います。
 今年度に入り原油の高騰に伴ってガソリン等の石油精製品も大きく値上がりし、私たちの日常生活や家計へも影響を及ぼし始めていると言った方がいいでしょう。交通局では1,023台ものバスを保有しており、市営バスの燃料である軽油の値上がりにも苦慮していると聞いております。
 そこでまず、市営バスの軽油の調達はどのような契約方法により行っているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 四半期ごとに12営業所をブロック分けしまして、WTO政府調達協定の対象となる調達契約として、当初指名に加え公告により広く入札参加者を募集するいわゆる公表型指名競争入札により契約しております。

○大山委員
 次に、軽油の値上がりの実態についてですが、平成15年度から16年度にかけて軽油単価はどのように推移しているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 四半期ごとに消費税抜きの1リットル当たりの平均単価で申し上げますと、平成15年度の第1・四半期は63円95銭、第2・四半期は58円17銭、以下58円90銭、59円49銭でございまして、割かし比較的安定的に推移いたしましたけれども、16年度入り第1・四半期は62円34銭、以降66円69銭、71円31銭となり原油価格の高騰に伴う大幅な上昇の影響が出ております。

○大山委員
 それでは、軽油の単価がそのように推移していく中で交通局全体としてかかる軽油の費用ですが、平成16年度の軽油の費用は10月以降の単価を同水準と見た場合、予算に比べてどのような見込みとなるのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 平成16年度の軽油の購入に係る見込みは12億8,800万円で、予算額11億7,100万円に比べますと1億1,700万円の負担増となる見込みでございます。

○大山委員
 それでは、その負担増を吸収するために経営面でどのような努力をしているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 まず、契約方法を見直しいたしましてできるだけ安く調達する努力をしていきたいと思います。また、あわせまして軽油使用料の節減を図るために、アイドリングストップを初めとします乗務員へのエコドライブの徹底など、運行面での工夫や努力を重ねてまいります。さらに、それ以外の経費節減ということで、光熱水費などあらゆる経費についても徹底した削減に努めております。

○大山委員
 原油価格の高騰といういわば不可避的な経済情勢が経営を圧迫しており、バス事業者としては厳しい状況にあると思いますが、あらゆるコスト削減に取り組んでいただきまして収支の改善に努めていただきたいと思います。
 さて次に、自動車事業会計決算書を見ますと、平成15年度にバスの運行情報を提供するバス運行改善システムの更新に着手したと報告されています。これに関連して何点かお伺いします。
 そもそもバス運行改善システムとはどのようなものか、また、新システムでの特徴は何か、お伺いします。

○魚谷交通局長
 このシステムは昭和63年から導入したものでございまして、その役割といたしましては、バスの運行状況を把握して乗務員の勤務実績の集計、運行管理業務の効率化等を図るとともにお客様へ運行情報を提供するものでございます。
 今回の新しいシステムは、人工衛星を利用しておりますGPSいわゆる全地球測位システムを活用した方式で、現在みなとみらい地区で運行中の100円バスで携帯電話に運行情報の提供を試行している方式と同様のものでございます。

○大山委員
 今試行的に携帯電話を活用して情報提供しているとのことですが、その利用状況はどうか、また、事業効果としてはどのようなことを期待しているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 携帯電話による利用状況といたしましては、運行日一日平均で約400件ございまして、リアルタイムで運行情報が得られることから利便性向上による利用者増につながっているのではないかと考えております。

○大山委員
 現在試行段階かもしれませんが、今後対象路線を拡大していくのか、また、いつごろを予定しているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 運行システムが本格的に稼働いたします平成17年度から全路線での順次導入を行い、拡大を図ってまいりたいと考えております。

○大山委員
 最近のIT活用は目覚ましいものがあります。特に携帯電話の中でQRコード対応の携帯電話も普及しています。これは携帯電話で直接コードを読み取り短時間にインターネットにアクセスが可能になるもので、広報媒体としても注目を集めています。
 そこで、最近よく目にするQRコードを活用したサービスを横浜市としては考えているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 これは小さいものですけれども、(資料を提示)現在100円バスの停留所にはこれを張って表示してございます。運行情報と時刻表を提供するホームページに容易に接続できるという効果がございます。今後、バス運行改善システム更新後は順次すべてのバス停留所にQRコードの表示を拡大してまいりたいと考えております。

○大山委員
 携帯電話を活用したバス情報の提供は、バスの利用者、特にバスの到着を待っている利用者のサービス向上に大いに役立つものと考えます。新システムの早期の稼働に期待したいと思います。
 それでは次に、市営バス事業のあり方について、これまでの議論の経緯の確認も含めてお伺いします。
 本年1月に市営交通あり方検討委員会から市長あてに提出された市営バス事業のあり方に関する答申では、新たな経営形態への移行の中で民間譲渡と完全民営化方式のうち委員会としては完全民営化方式が提言されています。そこで、なぜあり方検討委員会では完全民営化という結論に至ったのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 少し長くなりますけれども、市営交通事業あり方検討委員会のバス事業に関する答申では、まず1点目といたしまして一括または複数エリアに分割しての民間譲渡と、新会社を設立して株式を売却する完全民営化という2つの方式が比較検討されております。このうち、民間譲渡方式については、民間企業による効率的なサービスの提供や事業資産の譲渡、売却によります市財政に対してのプラス効果が期待できる一方で、職員の雇用関係は相当な影響を受けるものと推測されると書いてございます。一方、完全民営化方式につきましては、自主自立で経営責任の明確な経営が実践でき、将来の株式売却によります市財政に対するプラス効果が期待できる、職員の雇用関係では身分や労働条件の変更等が生じることも想定され、需給関係によっては十分な雇用が保障されない場合もあるけれども、横浜市のバス事業は黒字経営の可能な市場を有し経営の自由度も高いことから、従業員の努力が十分報われる経営形態であるとされております。
 これら2つの方式につきまして、市民サービスへの効果、雇用への影響、市財政に対する効果等を委員会として勘案した結果、譲渡ではなく完全民営化方式が提案されたわけでございます。なお、答申では、完全民営化に当たっては雇用問題、法制面での制約もあることから、まずは公営企業での抜本的な改革を進めた上で市の出資する株式会社にバス事業を承継し、安定的持続的な黒字経営を目指し、できるだけ早期に市が保有する株式を民間等に売却することにより最終的に完全民営化を実現すべきであるとされております。

○大山委員
 今幾つか雇用の問題とかお話がありましたが、それでは、完全民営化に当たっての課題は何か、お伺いします。

○魚谷交通局長
 答申されました市の出資により新設される会社への移行を想定した場合、まず身分が公務員でなくなることに関して、年金制度面での問題を含め、現在1,900人おります正規職員が新しい会社に移行してくれるかどうか、また、移行に同意しない職員をどういうふうに処遇するのかがあります。ちなみに、民間ではございませんが、譲渡されました札幌の場合には418人のバス乗務員等に対しまして地下鉄の方に107人、それから市の部局の方に178人行ったわけですけれども、私どもは現在地下鉄についてはワンマン運転等で職員を出す方にございます。そういった状況がかなり違ってくる。
 それから、ボリュームが大きいという問題がございます。仮に全職員に支給すると、民間に移行すると退職金を全額払うという形ですから約194億円とされます退職金の手当てをどう処置するのか、また、企業債の繰り上げ償還等が必要になってまいりますので、それらの財源をどのように手当てするのかという財政面での課題があります。
 また、現在は企業債による資金調達を行っているわけですけれども、新しい会社になりますと、車両の更新など事業継続のために不可欠な設備投資等の資金を新しい会社の信用力で民間企業から調達するといったことが必要になってきます。これが可能なのかどうかという面がございます。
 また、地方自治法及び本市条例に基づき、市営バス事業を廃止する場合には議会におきまして出席議員の3分の2以上の同意を必要とするという手続面での課題もございます。
 さらに、現在市営バスが運行している不採算路線等についてどのような維持方策をとるのかなど、お客様や市民へのサービスの維持確保が大きな課題になると考えております。

○大山委員
 また、交通局では一般会計の任意補助金に頼らない収支均衡を平成19年度の目標に据えた市営交通経営改革プランを本年3月に策定しましたが、経営改革プランとあり方検討委員会の答申との関係はどうなっているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 市営交通経営改革プランは、あり方検討委員会から出されました公営企業での抜本的な改革として提言された喫緊に取り組むべき課題に対応して、市営交通事業としての経営改革目標と具体的な行動計画としてまとめたものでございます。

○大山委員
 また、あり方検討委員会の答申では経営形態の移行過程における課題に対して先駆的な取り組みが求められ、そのため、市民の理解を得つつ合理的な検討を加えた上で具体的なビジョンを平成16年度末までに策定することとされていますが、経営形態ビジョンの現在の取り組み状況はどうなっているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 あり方検討委員会では、バスについては経営形態のビジョンと明確にはしておりません。地下鉄については経営形態のビジョンという言い方をしていますけれども、バスにつきましては経営のビジョンという言い方をしております。現在、私どもの方では、企業経営診断の専門家でございます監査法人のアドバイスを受けながら現在の公営企業経営の現状分析や経営形態を変更した場合の課題の抽出整理といった作業を進めているところでございます。

○大山委員
 それでは、経営改革プランと経営形態ビジョンとの関係はどのように考えているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 経営改革プランは、先ほど申し上げましたとおり答申内容のうち喫緊に取り組む課題に対応して市営交通事業としての経営改革の目標と具体的な行動計画を定めたものです。一方、同じく答申で提言されたビジョンにつきましては、答申された趣旨を踏まえて現行の経営形態の問題点やその要因を分析するとともに、地方公営企業法の全部適用企業としての課題、民営化の課題など考えられる幾つかの形態ごとに検討を加え、最終的な経営形態を判断するための材料を提供するため策定してまいりたいと考えております。

○大山委員
 経営改革プランの最終年度は19年度となっていますが、これを待たず実施状況を途中でチェックすることが必要だと考えますけれどもどうか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 このプランでは平成19年度までに一般会計の任意補助金を受けない収支均衡を目標としておりますけれども、その前年、平成18年度ごろにはこの目標が達成できるかどうかを含めて経営改革の進捗状況を点検していただくことになろうかと考えております。

○大山委員
 それでは最後に、経営改革プランの目標が達成すれば公営企業として存続できるということになるのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 事業運営を預かる立場で申し上げますと、まずは経営改革プランを着実に実施していくことで民間並みの経営体質を構築することに全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。私といたしましては、公営企業として存続していきたいと考えておりますけれども、最終的には議会とともに横浜市としての御判断をいただくことになろうかと考えております。

○大山委員
 それでは次に、地下鉄事業に関連してお伺いします。
 市営交通経営改革プランでは、増収対策の一つとして駅構内や高架下のスペースを活用したさまざまな附帯事業の取り組みを挙げています。資産の有効活用を図る上からも、駅構内や高架下での店舗開設などの事業化を積極的に推進していくことは重要な事業の一つであると考えます。
 そこで、これに関連してお伺いします。
 附帯事業全体として平成15年度の収入はどのくらいか、また、前年度と比較してどうか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 地下鉄の附帯収入は平成15年度には約7億5,900万円の収入がございました。
 また、前年度と比べますと約1,900万円の増額になっております。

○大山委員
 それでは、附帯事業のうち平成15年度までの駅構内や高架下の活用状況はどうか、また、その収入はどのくらいか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 店舗や事務所といたしまして90カ所、駐車場37カ所、駐輪場6カ所などとして活用をしております。
 これらの活用による収入は約5億6,900万円となっております。

○大山委員
 最後に、増収対策として駅構内での店舗等のさらなる活用が重要と思われますが、今後の計画とその収入見通しはどのくらいか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 市営交通経営改革プランでは平成20年度末までに物品販売、飲食を中心とした約20店舗の店舗展開を計画しておりまして、これによる増収は約1億500万円を見込んでおります。

○大山委員
 それでは最後に、横浜環状鉄道中山−日吉間の建設に関連してお伺いします。
 現在営業しているあざみ野から湘南台区間の建設に際して、もう20年も前のことになりますが、私の地元港北区の新横浜周辺付近の工事で地盤沈下が発生し、家屋等の復旧や補償問題などその地域の人たちは大変な思いをしたとの話を聞いています。原因について改めて交通局に聞きますと、トンネル部分の地質はかたかったけれども、その中に薄い砂の層から地下水がトンネル内に若干しみ出て、これに起因してその上部に堆積している非常にやわらかい地層の水分が徐々に抜けて地盤沈下をしていったという説明でした。予期せぬ地質状況だったのかもしれません。
 現在交通局では中山−日吉間の建設工事を行っていますが、地域では地盤沈下や騒音など工事の環境対策に関しての不安を幾つか耳にします。20年前と現在とでは工事の技術も違い、また細心の注意を払って工事を進めているとは思いますが、地質状況など予期せぬ部分というのは今も20年前も同じであると考えます。
 そこでまず、中山−日吉間の工事において地盤沈下が起きないようにどのような対策を行っているのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 過去御指摘のような問題を起こしまして大変反省しているところでございまして、現在建築中の工事ではそういったことが二度と起きないように細心の取り組みをしております。
 御指摘の地盤沈下の主な要因といたしましては、1つはやわらかい地盤の地下水が抜けることにより土が収縮し地表面が沈下して発生する、2つ目としましてはトンネル掘削時に周辺の土地が緩むことでその影響が地表面に及び発生する、こういった2つが大きな要因として考えられます。まず、地下水が抜けることによる地盤沈下を防止するために、主に駅部で採用している開削工法では地下水が抜けにくい土どめ壁を採用し、駅と駅との間のトンネルでは地下水への影響がほとんど生じない密閉式のシールド工法を採用しております。また、2点目の土が緩むことによる地盤沈下を防ぐために、かたい地質の間の一部で採用しております山岳トンネルでは周辺の地盤を補強する補助工法を採用するとともに、掘削後速やかにコンクリートをトンネル周囲に吹きつけて安定させる対策をとっております。このように地質や地下水の状況を考慮した上で最新の技術を導入し地盤沈下防止に努めているところでございます。

○大山委員
 次に、コストに関して伺いますが、当初の建設コスト3,002億円から2,500億円までコストを縮減するとしています。さきの総合審査の中で交通局長から現時点で2,540億円まで縮減できる見込みであると発言がありました。
 そこで、2,540億円まで縮減した内訳はどのようなものか、また、土木工事が最盛期を迎えている中で縮減のために工事中の環境対策が低下することはないのか、お伺いします。

○魚谷交通局長
 縮減の内訳でございますけれども、増加要因としましては、乗りかえ利便性の向上とか環境対策とかいったもので経費がふえることもあるわけですが、一方で、シールドトンネルの新型セグメントなどの新技術新工法の採用、建設発生土の埋め戻しへの再利用など土木工事費で約98億円の削減をしております。また、駅施設の仕様の簡素化、需要の見直しによる車両数の削減、事務経費の見直しなどにより約234億円、地価の下落や物価の下落といったものにより特に用地費関係で130億円といったものが主なものでございます。
 こういったさまざまなコスト縮減に取り組んで建設を進めておりますけれども、安全対策は先生御指摘のように地元の御理解と御協力をいただく上で最善の策でございますので、工事中の地盤沈下や騒音、振動などの環境対策については必要不可欠という認識のもとに万全を期して取り組んでいるところでございます。

○大山委員
 地下鉄4号線は市民の期待も大きく平成19年の開業に向けて建設を進めておられますけれども、今後も、局長の方からも御答弁がありましたが、関係する周辺の方々には十分な説明を行い、また環境面でも地盤沈下や振動などの影響を十分配慮した工事を行ってもらうことを私からも再度要望いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

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