平成17年10月18日 平成16年度決算第一特別委員会(教育委員会関係)

05/12/25UP

平成16年度決算第一特別委員会(教育委員会関係)
平成17年10月18日


 前回の予算特別委員会に続き、今回の決算の審査(平成16年度決算第一特別委員会・教育委員会関係・平成17年10月18日開会)でも教育問題について質しました。質問項目と教育長の答弁(質疑全文)は以下の通りです。
私は、横浜市が先進的な教育を行っていくことにより、それが他都市へも波及していくものと考えます。今後とも横浜から発信する教育改革に全力をあげて取り組んで参ります。


質問内容
1 平成16年度の取組結果をふまえた、平成17年度の取組状況について
2 私立中学校への進学率について
3 校長の民間人登用について
4 授業時間数の確保について
5 教室の暑さ対策について
6 国の制度(条件附採用制度、仮免許制、更新制など)について
7 臨時的任用教員の採用問題について
8 団塊の世代の退職者の影響について
9 小1プロブレムについて
10 校庭の芝生化モデル事業について
11 市立図書館の管理運営事業について
12 学校給食の民間委託について
13 教育フェスティバルについて

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○大山委員
 まず、16年度の取り組み結果を踏まえた17年度の取り組み状況について伺います。
 伯井教育長が文部科学省から横浜市の教育長に就任して2年半が経過しました。この間、開かれた学校づくりの推進や確かな学力向上策の検討、教職員人事制度改革など教育改革のさまざまな取り組みが進められ、着実に成果を上げてきていると思います。しかしながら、社会経済状況が急激に変化し続けている中で、子供の規範意識の低下や学力の向上、学校安全対策など学校教育をめぐるさまざまな課題は依然山積しており、教育の改革は終わることなく進めていかなければならないものであると思います。
 そこでまず、この2年間の取り組みを踏まえ、今年度改革施策を進める上での基本的考え方や重点的に取り組んでいる施策について伺います。

○伯井教育長
 2年半経過いたしましたが、先ほどもお答えいたしました学校や校長がその権限と責任でできるだけ自律的に学校運営を行っていくという、それが教育の質の向上のために重要であると考え、取り組みを進めております。現在、現場主義の考え方ということで、平成18年度までの2年間で教育長なり教育委員なり教育委員会の幹部がすべての学校を訪問しようというような「きかせて!学校」スクールミーティング事業を実施しているところでございます。校長のリーダーシップによる学校運営の促進ということで、生き生き学校づくり予算という学校の裁量を大幅に認める取り組みや長期休業期間設定の弾力化などを実施しておりまして、各都市が横浜のこういった取り組みを参考にまねをし出すというようなことが最近出てきていると思っております。

○大山委員
 校長のリーダーシップの必要性や強化については私もかねてから主張はしておったのですが、今後も校長がリーダーシップを発揮しやすい環境を整え、裁量の幅を広げるための取り組みを進めていただきたいと思います。
 また、教育行政においても現場主義を徹底し、教育委員会が積極的に学校を訪問し教職員の意見を聞くということも大変有意義なことであります。教育長自身もできる限り足を運んでいるようですが、学校現場の訪問と教職員等との意見交換を通しての教育長の率直な所感を伺います。

○伯井教育長
 具体的には、現場に参りますと、人事異動の方針の見直しに対すること、学校防犯に関すること、いろいろな意見が聞かれます。各学校ではそれぞれ課題を当然持っておりますので、その中でも真摯に子供に向き合っているというのが実感できます。全般を通じまして、教育委員とか教育長、教育委員会の幹部と教職員が身近に話す機会は今までなかったと思いますので、そういった意味でよかったとか、こういう取り組みを続けてほしいという声も多く聞かれますし、また、我々が教育委員会でいろいろ政策を決定していく上でも、現場で見て聞いて知ったことは非常に生かされるという意味で意義のあることだと思っております。

○大山委員
 教育委員会が魅力的で、特色ある自律分権型の学校づくりを支援するためには、学校と教育委員会の距離を縮め、各学校の現状や思いを教育委員会が適切に把握していく必要があります。その点で、現場主義の「きかせて!学校」はいい取り組みであると思います。520校を2年間で回るということは大変なことですが、来年度以降も精力的に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、学校と教育委員会のさらなる意思疎通の円滑化に向け今後どう取り組んでいくのか、伺います。

○伯井教育長
 例えば、一つの取り組みとして、若手の教職員と教育委員会の事務局の比較的若い職員が一緒になってさまざまな課題解決に取り組む若手教員、職員の教育課題解決プロジェクトというのも現在実施しているところでございます。先ほどの「きかせて!学校」をさらに進めまして、私も含めて教育委員会事務局の幹部職員が各区に出向いていって学校長の意見等を聞きながら充実を目指していく出張教育委員会も10月下旬から年内には18区全部回ろうと考えているところでございます。

○大山委員
 一方で、横浜の教育をめぐる課題は、教育内容、学校内の組織のあり方、520校を所管する教育行政組織のあり方など、多岐にわたり山積しています。そのような課題の解決に向けて、教育委員会では昨年7月に横浜教育改革会議を設置し、既に1年余りにわたり大所高所からの検討を行っていますが、そこで、横浜教育改革会議のこれまでの成果と今後の審議課題について伺います。

○伯井教育長
 慶應義塾の安西塾長に座長をお引き受けいただきまして、教育の専門家、現場、さらには民間団体、企業の方々、各界各層の方に御参加いただきながら、公開の場で幅広い議論を行っていただいております。本年7月に第1回答申が出まして、語学教育戦略、教職員の採用、育成、人事の問題、開かれた学校づくりの推進などについて提言をいただいております。その中から、教員人事制度の改革等、可能なところから提言内容を速やかに実施しているところでございます。
 今後、11月中に第2回目の答申をいただこうと予定しておりまして、設置期限である年度末には集大成としての最終答申を作成していただこうと鋭意議論をしております。学力の問題、学校組織の問題、教育行政組織の問題であるとか、さまざまな問題について検討を進めていただいているところでございます。

○大山委員
 引き続き教育長には、ぜひ現場からの声を今後の取り組みに生かして、横浜の未来を担う子供たちのために横浜発の教育改革を推進していただきたいと思います。
 次に、私立中学校への進学率について伺います。
 新聞等によると、学力低下が叫ばれる中、公立校離れが中学校ばかりでなく小学校にまで浸透し、我が子を名門私立小学校に通わせようと受験熱が大都市を中心に一段と高まっているという報道がなされています。保護者にとっても、私立中学への進学は大きな経済的な負担になることは言うまでもありません。それでも公立中学校よりは私立の方がいい、魅力があると私立中学校を希望する児童や保護者や多くなってきています。
 そこでまず、本市の私立中学校への進学率の過去3年間の推移について伺います。

参考資料:
行政区別・私立進学予定者数
(市立小学校卒業予定者
平成17年2月15日の進路状況調査より)
  予定者数 予定率
@青葉区   873 31.8%
A都筑区   527 24.7%
B港北区   563 24.5%
Q瀬谷区   108 9.2%
横浜市全体 5490 18.7%

○伯井教育長
 過去3年の私立中学校への進学率は18%前後で推移しているところでございます。

○大山委員
 本市の私立中学校への進学率は18%というと5人に一人ぐらいですから、かなり高いという印象を持ちましたが、それでは、本市の私立中学校への進学率は他都市と比較してどのような状況か、伺います。

○伯井教育長
 平成15年度卒業者進学率で東京都区部及び他の政令指定都市と比較してみますと、横浜市は東京都区部の20.0%に比べると若干低いわけでございますが、政令市の中では川崎市と並びまして18.8%と、私立中学校への進学率が最も高くなっております。

○大山委員
 本市は他都市と比較しても私立中学校へ進学する子供が多い傾向にあるとのことですが、横浜市の私立中学校への進学率が高いことについてどのように考えているのか、教育長の見解を伺います。

○伯井教育長
 要因といたしまして、私立中学校が東京や横浜に比較的多く集中しており、また、受験に縛られずに6年間落ちついて学習ができる、あるいは学力向上への期待、公立中学校における生徒指導への不安ということで私学を選択される保護者が多くなっていると考えられるわけです。私ども教育委員会といたしましては、保護者や子供にとって公立中学校の魅力を高めていく、教育の充実を図るということに誠心誠意努めていくことが重要であると考えております。

○大山委員
 おっしゃられたようにいろいろな要因が考えられるわけですが、私立中学校への進学率というのは、私立中学校に対しての評価があるとともに、本市の公立中学校に対しての評価という面もあると思います。教育委員会も、これまでさまざまな改革の取り組みをしているわけですから、その結果として、聞きなれない言い方かもしれませんが、公立への進学率を上げるというのでしょうか、つまり、信頼して期待してよりたくさんの子供を横浜市の地域の公立中学校に送ってもらう、預けてもらうという状況をつくってほしいと思います。
 最後に、子供が通いたい、保護者が通わせたいと思うような魅力ある公立中学校をつくるための取り組みについて伺います。

○伯井教育長
 公立のよさというのは、地域と密着して、その協力支援が得やすい、また、多様な生徒が学んで、その中で切磋琢磨できるということがあろうかと思いますので、そういった魅力、利点を生かしながら、より魅力ある公立中学校を、習熟度別指導を徹底していくとか、生徒指導の充実、一人一人を大事にした教育を行っていくとかによりまして魅力ある公立中学校づくりに努めてまいりたいと考えております。

○大山委員
 次に、校長の民間人登用について伺います。
 地域や学校の実情に応じ幅広く人材を確保することができるよう、平成12年に学校教育法施行規則が改正され、校長の資格要件が緩和されました。これによって校長については教員免許を持たず、教育に関する職についた経験がない者も公立学校の校長へ採用できるようになり、ことし4月1日時点で全国に92人が在職しているようであります。本市においても、新しい魅力ある学校づくりに取り組むため、本年4月から民間出身者2名を校長として初登用するとともに、本市の学校事務職や養護教諭からも校長登用を行っています。
 まず、そもそもどのような理由で民間人等の登用をすることになったのか、お伺いします。

○伯井教育長
 学校教育については閉鎖的であるとか、横並び主義とか、とかく言われがちなものでございまして、そういった中に優秀な経営力を持った民間人であるとか、学校事務、養護教諭というそれぞれの立場で学校全体を見渡して独自のものを発揮できる人で新しい息吹を加えていこうと。そういうことによって横浜の学校組織全体を活性化させようというねらいでございます。

○大山委員 
次に、教員以外の者から校長に登用した者の意見交換会を実施したとのことですが、各学校長からは具体的にどのような意見が出たのか、伺います。

○伯井教育長
 保護者等に伝える中で、学校現場で使われている専門用語、例えばカリキュラムとか教育課程、そういうものをわかる言葉にするだけでも学校は随分変わってくるのではないかとか、あるいは、保護者が多忙なためPTAの組織がなかなか難しいとか、今やっていることを他の学校でもできるようにシステム化していくといった、自校のみならず全市的な取り組みへの発展も意識した姿勢で前向きな意見が多数ございました。

○大山委員
 それぞれ課題に直面しながらも、これまでの慣行にとらわれない発想で前向きな対応策を考えているようですが、先ほど教育長からもありましたが、いい取り組みがなかなか横に広がらないという話がありましたが、ぜひそういったいい取り組みについて広くほかの学校でも実践していってほしいと思います。
 そこで、民間人等の校長による取り組みでほかの学校にも生かせるものがあるのか、あるとすればどのようなものがあるのか、伺います。

○伯井教育長
 東山田中学校については、学校運営協議会という本市が初めて設置したコミュニティースクールの取り組みを行っておりますので、その取り組みの成果等は他校にも重要な事例になるのではないかと考えております。また、各校の取り組みの中には、IT等による業務環境の整備であるとか、学校ホームページの改善による情報発信の推進、学校図書館の地域センター化等いろいろなことをこれから進めていこうとしておりますので、その実施手法等も含めて他の学校に生かせるか支援し、注目していきたいと考えております。

○大山委員
 最後に、国の方では副校長も民間人の登用が可能となるような制度の拡充が検討されていますが、こうした動きの中で本市としては学校管理職における民間人の登用についてどのように取り組んでいく方針なのか、伺います。

○伯井教育長
 今現在、文科省では、副校長、教頭にも民間人採用ができるよう資格要件を緩和する方向で議論が進められていると伺っております。これが可能となれば、より人材登用範囲が広がるものでございます。ただ、副校長の職務内容は非常に大変なのが現状でございます。そういったことも勘案しながら登用の可能性を探っていきたいと考えております。

○大山委員
 個性や特色ある教育活動を展開し、学校現場が活性化するよう今後も外部からのすぐれた人材の管理職の積極的な登用を行ってほしいと思います。
 次に、授業時間数の確保について伺います。
 子供たちの学力を向上させるために授業時間数の問題は非常に大切であると考えますが、まず、そもそも学力向上のための授業時間数の確保と言われますが、授業時間数と学力低下との関係について教育長はどのように考えているのか、伺います。

○伯井教育長
 学力向上に関しましては、一人一人の実態に即した指導を徹底して、基礎基本の確実な定着ということと発展的な学習にも対応していくということが重要でございまして、そのためには授業時数の確保がベースになると考えております。私が就任以来、その授業時数の確保ということに強力に取り組みを進めてきているところでございます。

○大山委員
 本市でも授業時数の確保について、二学期制の導入を初めさまざまな取り組みをしていると思います。そこで、小中学校の授業時間数はどのような状況か、伺います。

○伯井教育長
 小学校では、全校で国の法令で定める標準授業時数を上回っております。中学校では、一、二年生では標準授業時数を上回っておりますが、三年生はやや下回っているという状況でございます。

○大山委員
 中学校三年生以外は標準時間数はおおむねクリアしているようですが、他の政令指定都市と比較してどのような状況にあるのか、伺います。

○伯井教育長
 各政令指定都市に対しまして照会を行いまして、回答のあった5都市、さいたま、千葉、川崎、広島、北九州と比較してみますと、小学校では全学年で他都市の平均値を上回っております。中学校では、一、二年生はほぼ他都市の平均値と同程度でございますが、三年生はやや下回っているという状況でございます。

○大山委員
 授業時間数、本市全体の状況、そしてまた他都市の比較の件はわかりましたけれども、本市の小中学校と一口に言っても500もあります。それぞれの保護者にとっては自分のところがどうなのかと気になるところですが、そこで、市内の小中学校で授業時間数の多いところと少ないところの学校名と授業時間数についてはどうなっているのか、伺います。

○伯井教育長
 小学校でいいますと、一年生から六年生までの合計の授業時間数で最も多い学校は神奈川小学校でございます。5,993時間でございまして、本市の平均的授業時数5,664時間と比べまして329時間増。これは1学年で言うと55時間ぐらい多くなっております。最も少ない学校は下末吉小学校ほか10校でございます。5,367時間、これは標準授業時数どおりでございまして、本市の平均的授業時数と比べて297時間減となっております。
 中学校は、一年生から三年生までの合計の授業時間数で最も多い学校は軽井沢中学校の3,133時間で、本市の平均的授業時間数2,990時間と比べまして143時間増、1学年当たり37時間程度となっております。最も少ない学校は富岡中学校の2,745時間で、本市の平均的授業時間数と比べて245時間減という状況でございます。

○大山委員
 500もの小中学校がありますので、それぞれ出っ張り引っ込みはあるかと思いますが、すべての学校で十分な授業時間数がきちんと確保され、授業内容も充実するよう望みます。そこで、授業時間数の確保に向けて本市ではどのような取り組みを行っているか、伺います。

○伯井教育長
 こういった出っ張り引っ込みをできるだけ少なくしていくというのが教育委員会の本当に求められる役割だと思いますので、今後努力していきたいと思います。
 授業時数の確保の中で、二学期制等を行う中で、学校行事の精選や見直し、長期休業の弾力的な運用を行ったり、時間割りの中で授業の枠をふやして週当たり授業時間数の増加を図ったり、さまざまな取り組みが行われているところでございます。

○大山委員
 今話が出ました二学期制への移行により、どれくらい授業時間数が増加したのか、伺います。

○伯井教育長
 15年度と16年度を比較いたしまして、小学校の低学年では10時間程度の増、高学年では25から30時間程度の増、中学校一、二年につきましては40時間程度の増、中学校三年につきましては10時間の増となっております。これは、15年度に比べまして16年度は暦の関係で授業日数が3日少ないため、同日数と仮定して算出したものでございます。

○大山委員
 各学校で行われている取り組みは今後もぜひ工夫しながら継続していってほしいと思います。
 取り組みの中に長期休業の弾力的な運用がありました。今年度から各学校で休業日を設定できることになったようですが、そこで、夏休みなど長期休業日の弾力化の状況を伺います。

○伯井教育長
 16年度で申しますと、夏休みは、ほとんどの小学校で通常のパターン、7月21日から8月30日より少なく設定しております。中学校では、逆にそれより多目に設定している学校が多いというものでございます。秋休みにつきましては、小学校はほとんど2日間設けているのですけれども、中学校が設定していない学校が多いという状況によるものでございます。冬休みは、ほとんど通常パターンどおり設定しております。17年度は、日数も含めてこれを自由化いたしておりますので、さらなる弾力化が進むと考えております。

○大山委員
 休業日の弾力化、また授業時間数を確保するということから夏休みが短くなった学校もふえてきているようです。しかし、厳しい暑さの中で子供たちが学習を行っていくには、学習環境を整えていくことも大切であると思います。
 そこで次に、先ほど別の委員からも質問がありましたが、私も生徒や保護者からとても要望の多い学校の教室の暑さ対策について少し違う角度から伺ってまいります。
 先ほどのやりとりの中にもありましたけれども、昨年もことしも7月や9月には気温が30度を超えた日が多く、学校における子供たちの学習環境は必ずしもよいとは言えない状況にあると思います。
 まず、教室の暑さが子供の学習に及ぼしている影響について教育長の見解を伺います。

○伯井教育長
 毎年夏場に私も学校を意図的に回っていまして、様子を見ているわけでございますけれども、学習に及ぼす影響があるかないかと言われれば、あると言わざるを得ないわけでございまして、大人も暑いと影響があるのは当然でございますが、暑いとやる気が出ない。それでも頑張ってやる気を出してやるというのも教育でございますので、忍耐力も身につけていくというのも教育でございます。しかし、限度があるということで、なかなか難しい課題であるというふうに認識しているところでございます。

○大山委員
 今、教育長が言われたように、もちろん暑かろうが寒かろうが、そういった状況もありのまま受けとめて勉強したり生活したりしなければなりません。暑い中、暑さを我慢しながら机の前で勉強するのも学びの一つであるかもしれません。
 一方、どこへ行っても空調が完備されているところが多い現代の社会であります。そこで、学校ではどんなに暑かろうが、ある意味、気合いで勉強しなければならないというスタンスか、そうではないのか、教育長の見解を伺います。

○伯井教育長
 何事にも気合いは必要であるというふうに考えておりますが、気合いだけでもなかなか難しいものがございますので、教育活動の実施に当たりましては季節ごとの自然環境に配慮しながら適切な学習環境の確保が必要であると認識しております。冷房のない普通教室におきましては、窓、廊下の開放、あるいはカーテンによる遮光などで通風に努め、対応しているところでございます。

○大山委員
 さっきも申し上げましたが、私も毎年、保護者や生徒から要望が多いのですけれども、冷房装置の導入は課題であるのはあるのですが、これまでの暑さ対策の取り組みについてはどのように進めてきたのか、伺います。

○伯井教育長
 まず、エアコンにつきましては、職員室、コンピューター室、保健室、保健相談室について全校に設置をしております。コンピューター室以外の特別教室につきましては、音楽室に順次設置をしておりまして、平成17年度は音楽室の冷房化について55校を対象に進めているところでございます。普通教室には原則設置していないわけでございますが、養護学校や騒音対策として冷房設備が必要な学校に設置をしているところでございます。なお、学校の余裕教室に地域と学校との連携や児童生徒が一定の学習をする場として、今年度から簡易なエアコンを設置するような事業も進め始めたところでございます。
 扇風機につきましては、学校長が必要に応じて配当予算の中で購入しているというものでございます。

○大山委員
 先ほども話がありましたが、エアコンの設置にはさまざまな考え方がありますし、また、多額の財政負担があるとの話もありましたけれども、仮に普通教室すべてにエアコンや扇風機を設置した場合、経費は概算でそれぞれ幾らぐらいになるのか、ちなみに伺います。

○伯井教育長
 普通教室は約8,700学級ございまして、エアコンの場合、概算で273億円、扇風機の場合、概算で3億5,000万円でございます。これはランニングコストを除いた、いわば初期投資に要する費用でございます。

○大山委員
 学校施設管理の決算、予算を見ていますと、それぞれ厳しい予算の中やりくりしている様子がうかがえますが、学校施設管理の中で耐震補強の話、学校の安全対策、トイレの改修、そして今話しておりました特別教室の冷房設備整備費について16年度決算額及び17年度の予算額はどんな感じなのか、また、それらの優先順位とその理由についてあわせて伺います。

○伯井教育長
 ただいま御指摘がございました耐震補強につきましては、16年度決算で18億9,000万円、17年度予算が20億2,000万円。同じく学校の安全対策につきまして、16年度決算が4億7,000万円、これは防犯カメラ等を設置したものです。17年度予算は2億1,000万円。トイレの改修に16年度決算が8億9,000万円、17年度予算は15億7,000万円、これは洋式化を進めておる関係でふえております。特別教室冷房設備整備費といたしまして16年度決算で6,000万円、17年度予算は先ほどの音楽室の整備もございますので2億円となっております。
 4項目ともいずれも必要なことでありますが、あえて優先順位等を申し上げますと、やはり児童生徒の生命や安全にかかわる耐震補強、学校の安全対策を最優先で対応しているところでございます。

○大山委員
 トイレの改修に思った以上に多くの予算が措置されているなという印象です。先ほど、音楽室など特別教室の冷房設備の整備を今年度は約50校分進めているとのお話がありましたが、昨今の暑さとそういった要望を踏まえて、トイレの改修も大事だと思いますけれども、特別教室冷房設備整備費というものももう少し手厚くして整備を積極的に進めていただくよう要望しておきます。
 次に、国の制度について幾つか伺ってまいります。
 まず、条件つき採用期間制度について伺います。
 条件つき採用期間制度は、一定期間において正式採用のために実地の勤務について能力を真に有するかどうか実証を行う期間であり、一般的な地方公務員の条件つき採用期間は6カ月ですが、特に教諭についてはその期間は1年とされています。
 さて、最近、教員の採用人数は増加傾向にあり、ことしは約750人もの新人教員が採用されていると聞いておりますが、その一方で、採用後1年もたたないうちに退職していく者もいると聞いております。
 そこでまず、現状として、昨年度採用された新人教諭の1年以内の退職者数は何人なのか、横浜市の状況、また全国的状況はどのようになっているのか、伺います。

○伯井教育長
 横浜市で23名、文科省の調査による全国状況は191名でございます。

○大山委員
 それでは、そのうち条件つき採用制度により正式任用されなかった教諭はいるのか、伺います。

○伯井教育長
 関係文書で確認できる範囲になりますけれども、少なくとも過去5年間、条件つき採用制度で正式任用されなかった教諭はいないという状況でございます。

○大山委員
 実地の勤務につき能力を真に有するかどうか実証を行う期間である条件つき採用制度により正式任用されず教壇を去る教諭は結果としてはいないようですが、では、新採用職員の教員としての適性については教育委員会は適切に見きわめているのか、伺います。

○伯井教育長
 新採用教員につきましては、6カ月後の条件評定、それから1年間での評定ということで、それぞれ勤務状況に関して各学校長から報告を受けております。課題があると認められる教員につきましては詳細な状況を把握して、改善に向けて個別対応しているところでございまして、その中で健康状況や教員としての適性に疑問があるとして、みずから退職する者もいるところでございます。

○大山委員
 条件つき採用期間は、教員として各自の能力を発揮していけるかどうか、その適性を見きわめるために、採用された者にとっても、採用した者にとっても非常に大事な期間であり、その職務遂行能力の検証期間である条件つき採用期間は厳正に運用されるべきであると考えます。
 一方、教員の資質の維持や向上は、採用時に優秀な人材を確保することのみならず、採用後も行政としてさまざまな取り組みを続けていかなければなりません。最近、国においては、例えば教員免許制度のあり方などが検討されています。採用時だけでなく、採用後も教員としての適性をチェックする取り組みの推進は積極的に行われるべきものと思います。また、せっかく導入するのであれば、名ばかりでなく、実効ある制度にしてほしいと希望しております。
 そこで、国において教員免許の仮免許制、更新制や仮採用制度の導入が検討されていますが、教育長の見解を伺います。

○伯井教育長
 教員免許につきましては、免許授与する段階と取得した後についても適切に資質能力が担保されるよう、定期的にその適性を確認する必要があるというふうなことが国において議論がなされているところでございまして、こうした認識のもと、国では免許更新制などの導入が議論されているところでございます。今後こういった議論の推移を注意深く見守っていきたいと考えているところでございます。

○大山委員
 次に、臨時的任用教員の採用問題について伺います。
 まず、臨時的任用職員はどのような場合に雇用される者で、現在どのくらいいるのか、伺います。

○伯井教育長
 必要数に対して正規の教員数が不足した場合や、産休、育休、休職による代替教員として任用する者でございます。本年10月1日現在の臨時的任用教員数は1,082人でございます。

○大山委員
 次に、必要な人数はきちんと確保できているのかどうか、伺います。

○伯井教育長
 日々必要数が変動しますので、その時点ですぐに確保できるというわけでは必ずしもないわけでございますが、現時点ではおおむね確保できているという状況でございます。

○大山委員
 確保はされているけれども厳しい状況のようであります。
 次に、臨時的任用職員の採用は本市ではいつからなのか、伺います。

○伯井教育長
 年度当初で採用する場合は4月5日でございます。

○大山委員
 臨時的任用職員の採用については幾つか問題点もあるというふうに聞いております。臨時的任用職員の採用時期は本市では、今お話がありましたが、4月5日からですが、近隣の横須賀市では4月1日からのようです。先ほどの答弁に人材の確保の苦労もあるとの話がありましたけれども、本市が4月5日からの採用のため、校長がいい人材だと目星をつけ推薦しても、4日分の賃金や交通費の条件面などから、より早く4月1日から雇用してもらえる近隣都市にいい人材が若干流れてしまっているという実態もあるようです。
 また、新年度は4月1日から始まり、4月5日から入学式も始まります。臨時的任用職員が入学式の5日に初めて学校にやってきて、新しい児童、新しい職場に対応ができるのかどうか、そんな中、4月5日から採用される場合でも4月1日から来てもらい、4月4日までの交通費や人件費が出ないため、校長がポケットマネーで、あるいはPTAに依頼して臨時的任用職員に交通費や弁当代を捻出しているというケースもあるようです。校長先生は、その間いわゆるボランティアで働かせている実態が労働諸法に抵触しないのか、事故が起こったときにどう対処するのかなどについて懸念しているとのことです。
 そこで、本市で4月5日からの勤務の臨時的任用職員が採用以前より前倒しで働いている実態はどうなのか、また、他都市の状況も含め、臨時的任用職員の採用のこのような実態についての教育長の見解を伺います。

○伯井教育長
 今御指摘いただいたように、任用前に校長の面談とか業務内容説明などを実施している学校もあると聞いているところでございます。他都市では、これも御指摘がありましたが、横須賀が4月1日から任用していると聞いておりますが、その他の状況はまだ把握しておりません。地方公務員法では、臨時的任用について1年を超えることは認められないと規定しているところでございまして、そのため県費教職員について県教委は、前年度任用した職員を再度任用する場合には10日以上の期間をあけるようにと指導しているところでございます。本市はこれに従いまして、前年度3月25日までに任用した者については10日間をあけて4月5日から任用して、その他の者も公平に4月5日からとしているところでございます。また、教員の定数確定の基準である新学期の学級編制の基準日が4月5日となっておりますので、そういった関係もあると考えているところでございます。

○大山委員
 県の指導の10日間という基準と編制の話です。現状そういうことだと思うのですが、横浜市は地方公務員法等の継続雇用制限に関して県の指導に従っているからとのことですが、本市で優秀な人材を確保するため、また、新しい学校での勤務に少しでも早く着任しなれてもらうため、臨時的任用職員の採用時期に関して神奈川県教育委員会と調整していくべきと考えるがどうか、伺います。

○伯井教育長
 他都市と比較して不利な雇用条件にならないよう、また人材確保の観点からそういった方向性をとるべきだという御質問だと思いますが、神奈川県教委と具体的に調整していきたいとは考えております。ただ、臨時的任用職員も給与負担者は県教委で、県でございまして、そういった意味で県との関係は微妙なものであるというのは御理解いただきたいと思います。ただ、初めて本市で任用する者とか、前の任用から10日以上の期間があいている者については検討をぜひしていきたい、そういう方向で県教委と調整していきたいと考えております。

○大山委員
 それでは次に、団塊の世代の退職の影響について伺います。
 これから、いわゆる団塊の世代の大量の定年退職者が出ることが見込まれており、このことは一つの大きな社会現象でもあり、横浜の教育にとっても大きな影響をもたらすことになるのではないかと思います。
 まず、今後の定年退職者数の推移はどのような状況なのか、伺います。

○伯井教育長
 過去3カ年の校長、副校長、教諭の定年退職者数はおおむね170人から240人程度で、本年度末では169名の予定でございます。本年度末以降、大幅な増加傾向がございまして、これが数年続き、ピークは平成25年度末で、現時点の推計では530名前後の退職が見込まれております。

○大山委員
 それでは、団塊の世代の大量退職によりどのような影響が出てくるのか、伺います。

○伯井教育長
 欠員補充のため新採教員の大量確保が必要になるということと、その採用による教員の質の確保、低下を防ぐ必要もあるわけでございます。また、年齢分布から管理職層、指導的立場となる年齢層が急激に少なくなるわけでございまして、学校運営上にも影響が出てくるものと考えております。

○大山委員
 どういう状況においても最善を尽くし、ピンチもチャンスに変えていくべきだと思いますが、教育委員会としてはこうした状況をどのようにとらえ、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。

○伯井教育長
 一つは、大量採用ということで、受験者とその質を確保していくということが重要であろうかと考えておりまして、教員養成大学等との連携の強化、全国各大学等への募集説明会をさらに拡充していくとともに、受験資格の緩和等、採用試験そのものの制度的な見直しを行う必要があろうかと考えております。管理職につきましては、優秀な若手教員も積極的に登用していったり、学校経営に関する研修、意識づけを充実させていきたいと考えております。

○大山委員
 少なからずさまざまな影響があることが予想されていますが、こうした時代の一つの大きな節目を今後の横浜の教育にとって大きなチャンスに変えるような取り組みをしていただきたいと思います。
 次に、小一プロブレムについてお伺いします。
 小学校に入学したばかりの一年生が先生の話を聞けずに教室で騒いだり歩き回ったりして授業が成立しない状況を小一プロブレムと言い、数年前から都市部の小学校において問題視されるようになっていますが、今日では全国的に広がってきているようであります。
 そこでまず、いわゆる小一プロブレムの横浜市の現状について伺います。

○伯井教育長
 いわゆる小一プロブレムとは、小学校に入学したばかりの一年生が集団行動がとれなかったり、授業中に座っていられないなどの状態が続くことを示しております。本市では、学級編制上の事情も含めまして、小学校低学年のクラスについて非常勤講師を配置する授業を進めておるわけでございますけれども、その配置の申請をしてきた学校という点でとらえますと、平成17年度、118校ございました。

○大山委員
 本市においても学校現場から低学年サポート事業による非常勤講師の配置申請の中に小一プロブレムに該当するものが多く寄せられているとのことがわかりました。非常勤講師の配置によるきめ細かな指導も重要でありますが、その原因を把握した上での抜本的な解決策が必要であると思います。
 そこで、主な原因として考えられることは何か、伺います。

○伯井教育長
 集団活動の体験不足などからくるコミュニケーションが年齢相応にうまくとれない、児童の集団生活への適応上の問題があると考えています。こういった背景には少子化や核家族化、価値観がさまざま変わってきた多様化等々、社会の変化の状況があると言われているところでございます。

○大山委員
 では最後に、横浜市ではどのように取り組んでいるのか、伺います。

○伯井教育長
 先ほど言いました小学校低学年のサポート事業、非常勤講師を配置する低学年サポート事業や教員志望の大学生のボランティアを派遣するアシスタントティーチャーなどの活用を現在しております。これを今後とも充実していく必要があろうかと考えておりますし、また、幼稚園、保育園、小学校の連携をさらに積極的に図っていくことが必要であろうかと考えております。

○大山委員
 小学校一、二年生は集団学習の基礎や生活の基礎をつくる重要な時期であり、小学校につながる、今言われていた幼稚園、保育園との連続性の中で教育のシステムを検討するなどの対応も考えてほしいと思います。
 次に、校庭の芝生化モデル事業について伺います。
 まず、校庭の芝生化の現状と平成16年度の事業内容について伺います。

○伯井教育長
 現在、6校芝生化しております。16年度はつつじが丘小学校と小山台小学校の校庭を芝生化いたしました。また、校庭の芝生化検討委員会を開催いたしまして今後のあり方を検討したところでございます。

○大山委員
 校庭の芝生化については維持管理が大変であるという声がある一方で、子供たちの身体的な動きがよくなったという声も聞きますが、そこで、芝生化のメリット、デメリットについてどう考えているか、伺います。

○伯井教育長
 転んでもけがが少ないということで子供たちが活発になったり、校庭の砂じんを防ぐ効果もあります。また、地域の方々に維持管理をお願いするというやり方で横浜はやっておりますが、そういう地域協働を促進するというメリットもあるのではないかと思っております。
 デメリットは、手間暇がかかり維持管理の負担が大きいということと、芝生を養生させる必要があるので、一定期間使用を禁止しなければならないというところが大きな問題であると考えております。

○大山委員
 現在6校の校庭が芝生化されているとのことですが、さまざまな問題がわかってきたと思います。今の手間暇の話もそうかもしれませんが、そこで、校庭の芝生化の課題は何か、伺います。

○伯井教育長
 ただいまお答えいたしましたように一定期間養生が必要でありますので、その間、教育活動とか学校開放に支障が生じる場合があります。特に大規模校や校庭の使用頻度が高い学校では直ちに支障が生じてくるという問題がございます。また、地域の協力を得るという意味で、住民の中に芝生についてある程度詳しい知識を有する人も必要であるという課題もございます。あとは多大の労力が必要であるので、地域協力という点で苦労があるというところでございます。

○大山委員
 校庭の芝生化を進めていくためには、民との協働と言われるように、PTAを初め地域や専門家の協力が欠かせないと思います。
 最後に、15年度、16年度とモデル事業を実施、そして17年度は事業の拡大なのかと思ったら、拡大ではなく調査、検証となっていますが、その理由を伺います。
 また、今後どのように進めていこうと考えているのか、伺います。

○伯井教育長
 17年度は、今後の方針を策定するため、現在芝生化している6校につきまして、土壌の環境とか芝生の生育状況などの技術的な側面、それから先ほど言った芝生の養生と教育活動とのかかわり、維持管理と地域との連携のあり方などを検証していこうということでございまして、一時様子見をして、芝生化の拡大を一時休止しているというところでございます。こういった状況を見ながら検討していく必要があると考えておりまして、必ずしも校庭全部を芝生化しなくても、部分的にやるとか、いろいろな方法もあると思いますので、いずれにせよ地域との連携というかかわりの中で新たな方途を考えていく必要があると考えております。

○大山委員
 次に、市立図書館の管理運営事業について伺います。
 本年5月に実施された平成16年度第2回定期監査において横浜市監査委員から、横浜市立図書館の管理運営について結果の報告がありました。この監査報告の中で、中央図書館及び地域図書館での図書館サービスについて目標設定などは行われていない状況にあると指摘されています。文部科学省からも平成13年7月に公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準が示され、図書館サービスについても適切な指標を選定するとともに、これに係る数値目標を設定し、その達成に向けて計画的にこれを行うよう努めなければならないとされています。
 そこで、市立図書館では図書館サービスについて目標設定などを行っていませんが、その理由について伺います。

○伯井教育長
 図書館に予算配分しているのは教育長の権限でやっているわけですけれども、その中で答えにくいわけでございますが、厳しい財政状況の中で仮に蔵書冊数の増加など経費を必要とするものについては目標を設定したとしても実現可能性が低いと図書館の方で考えてこれまでつくってこなかったという理由、あるいは、質的な面を評価するという点で数値であらわすことが容易でないため設定してこなかったというようなことが理由でございます。

○大山委員
 確かに、図書館の目標設定といっても私もぴんとこないと思ったのですけれども、厳しい財政状況が続く中で計画的に図書館サービスの向上を図っていくためには適切な目標設定をし、その達成状況について点検及び評価を行っていくことも必要と考えております。そこで、難しいのですが、今後の目標設定をどのようにやっていくのか、伺います。

○伯井教育長
 どういった機関につきましても、目標設定する場合、具体的な指標でないと職員がそこを目指して頑張るということにはならないと思います。学校よりは図書館の方がまだ数値で目標を設定しやすい機関であるというふうに考えておりまして、平成18年度から数値を掲げた目標を定めてまいるよう検討したいと思っております。

○大山委員
 一方、図書の貸し出しについては、2週間の返却期限内に返却されない図書が多数あり、はがきによる督促が年間約14万件に達しているという指摘があります。そこで、未返却者に対する督促はどのように行っているのか、伺います。

○伯井教育長
 返却期限を過ぎても返却されない場合、督促はがきを送付しているわけでございますが、返却期限後4週間を経過しても返却しなかった利用者に対して1回目、さらに1回目の発送から1カ月を経過した場合に2回目、それでも返却されない場合に夏休み、年末年始等を通じて3回目を送付する。必要に応じて電話督促も行っているという状況でございます。

○大山委員
 何度かはがきを送っておられますけれども、督促はがき14万枚の費用はどのくらいなのか、伺います。

○伯井教育長
 16年度に発送した督促はがきが14万1,239枚でございまして、これに要した費用は、はがきの作成費と郵送費を合わせまして計913万8,163円でございます。

○大山委員
 どこの図書館でも所在が不明になってしまう図書を減らすことが大きな課題とは聞いております。監査の報告書の中でも、平成17年3月現在、横浜市立図書館全体で約11万冊の図書が所在不明ということですが、この原因は何なのか、伺います。

○伯井教育長
 11万冊の内訳は、1年に一度行っている蔵書点検で見つからなかったもの、所定の書棚の位置で見つからないもの、利用者が紛失したもの、住所不明などにより督促不能によるものがあります。これらの中には後で発見されるものもかなり含まれておりまして、このために市立図書館としては最終的に不明の図書として所蔵リストから除く図書は、蔵書点検時において3年連続して見つからなかったものとしているところでございます。

○大山委員
 蔵書点検時に3年連続して見つからないものを最終的に不明図書として所蔵リストから除くということですけれども、3年連続して所在不明の図書は何冊ぐらいあるのか、また、その被害金額は幾らくらいなのか、伺います。

○伯井教育長
 約2万2,000冊でございまして、購入時の金額で算定しますと被害金額は約2,600万円でございます。

○大山委員
 貸し出した図書を期限内に返却してもらうこと及び所在不明の図書を減らすことは図書館の管理運営上大変重要なことと考えますが、今後どのような改善を図っていくのか、改善の方向とスケジュールについて伺います。

○伯井教育長
 期限内返却を促すために、ことしの12月から一定期間以上の未返却者には、返却されるまでの間、新規貸し出しと貸し出し予約を停止する措置を講じることとしております。また、本年7月に図書館内に不明図書対策プロジェクトを設置いたしまして、ポスターを掲示するなどさまざまな取り組みを進めているところでございます。秋の読書週間には全館で図書無断持ち出し防止キャンペーンを行って集中的に普及啓発を行っているところでございますし、不明図書の多い図書館には順次防犯ミラーの設置を進めているところでございます。

○大山委員
 市立図書館では本年1月からEメールでのレファレンスの受け付けを、また今月12日にはインターネットを通じての図書の予約の受け付けを開始していると聞いています。市立図書館には引き続き厳しい財政状況の中ではありますが、創意工夫の上、利用者へのサービスの拡充に努めていただくことを要望しておきます。
 次に、学校給食の民間委託について伺います。
 横浜市の学校給食は、小学校354校、盲聾養護学校9校合わせて363校で約19万人の児童生徒を対象として実施されています。食育基本法が制定されるなど、食育が国民的課題ともなっていますが、学校教育の中で食育を進めていく上で一番身近で効果的な教材となるものが学校給食であり、食育の時代にふさわしい充実した学校給食となることが期待されています。
 一方、厳しい財政状況の中、学校給食の分野においても公民の適切な役割分担のもとに創意工夫を凝らした給食運営を図っていくことが求められています。給食調理業務の民間委託は、学校給食の充実、向上を図りつつ、学校規模、施設状況などに柔軟に対応し、効率的、効果的な運営を図ることからできる有効な手法と考えています。本市においては、平成15年9月から市内2つの小学校で民間委託が試行的に開始され、実施内容を十分に評価検証し良好な結果を得、また、一定の経費削減効果も明らかになった上で17年度から委託校が拡大されております。
 そこで、平成17年度には委託校を23校へ拡大しましたが、委託校の選定や委託先業者についてはどういう考え方で進めてきたのか、伺います。

○伯井教育長
 学校でさまざま抱えている課題に応じたニーズや多様な給食に向けた学校の意向を踏まえまして拡大してきたものでございます。委託業者につきましては、学校給食調理業務の豊富な実績と経験を有し、学校給食の意義を理解している信頼できる給食会社へ委託していくことを基本的な考え方として拡大を進めたものでございます。

○大山委員
 今回の民間委託は、教育としての学校給食という観点から献立の作成や食材の購入については委託業務とはせず、これまでどおり各学校の給食室で調理する自校調理方式の中で調理業務と給食室から教室への運搬業務だけに限定した委託内容となっていますが、拡大後の実施状況はどうか、また、保護者の評判はどうなのか、伺います。

○伯井教育長
 委託校23校それぞれに条件等が異なっておりますが、全体として契約内容に基づきまして、学校の状況に合わせて着実に業務が履行され、安定的な給食運営がなされていると考えております。
 すべての委託校で保護者への給食試食会やアンケート、意見交換会などが実施されておりまして、結果はおおむね好評でございます。

○大山委員
 調理員も増員され、順調に実施されているようですが、委託校が拡大したことによって民間委託による効果がより明確になってきているのではないかと思います。そこで、拡大されたことによって給食運営上どのような効果が明らかになってきたのか、伺います。

○伯井教育長
 ただいま御紹介がありました柔軟な人員体制などによる創意工夫によりまして、給食運搬による給食時間の確保、児童の安全の確保が図られている、あるいは、学校のニーズに応じたバイキングやセレクト給食など多様な献立への対応ができつつある、アレルギー食の拡充が図られているなど、委託校の拡大によりまして給食内容の充実に向けた民間委託の利点がより明らかになってきたものと考えているところでございます。

○大山委員
 民間委託導入時の議論において、給食の質が落ちてしまうとか、安全衛生面の不安があるなど、民間委託に対して危惧する向きが一部にありましたが、これまでの状況から判断して、民間委託はこれからの時代に合った学校給食を実現していくための有効な方策の一つであると思います。今後も給食の質の向上と安全衛生に努めた上で給食のさらなる充実のため、また効率的な業務執行のため委託校を拡大していく必要があると私は思っていますが、今後の民間委託の事業展開についてはどのように考えているのか、最後に伺います。

○伯井教育長
 先ほど少しお答えいたしましたように、給食調理業務の民間委託につきましては学校、保護者の意向を踏まえながらやっておるわけでございまして、まず、保護者、市民に民間委託の利点を幅広く紹介するなど積極的なPRを図っていくということが重要であると考えております。と同時に、拡大後の履行状況や民間業者の受託能力もさらに検証しながら、民間委託により給食内容の充実を期待できる学校などへ順次拡大の方向で検討していきたいと考えております。

○大山委員
 最後に、横浜教育フェスティバルについて伺います。
 きょうの委員会を聞いていただけでも、教育委員会は教育改革を目指し、さまざまな取り組みを行っておられます。学校を開く週間の実施やホームページでの情報発信なども行われていますが、なかなか市民の目に触れる機会が少ないようにも感じています。こうした取り組みを目に見える形で広く市民の皆様に情報発信していく努力が必要だと考えます。
 まず、教育委員会の平成17年度運営方針の中に教育フェスティバルがありますが、この事業の概要について伺います。

○伯井教育長
 同フェスティバルは、横浜市の教育のさまざまな取り組みを市民に広く発信していく場として来年1月14日に開催しようというものでございます。会場は関内ホール、教育文化センターで開催いたしまして、内容は、予定としては教育課題に関する研究成果の発表、研究協力校等の発表大会、教育に関する講演会やみんなで育てるハマの子どもネットワーク協議会のシンポジウムを初め、教育委員会の事業紹介や市民の活動紹介のパネル展などを考えているところでございます。

○大山委員
 事業の内容は今後具体的になっていくことと思いますが、教育は学校や教育委員会だけでなく、保護者を初めとした市民、市民活動団体や民間企業など、さまざまな教育的活動を行っている人たちによって支えられているものだと思います。言いかえれば、次世代を担う子供たちを広く地域社会全体で支えていくことが求められていると考えます。
 こうした地域全体での教育力が求められる状況の中で今回初めて開催されるこのフェスティバルの特徴、そして特色について伺います。

○伯井教育長
 横浜の教育改革の取り組みや学校の状況を知ってもらう、そして、ともに考える場として開催いたしまして、今御指摘がございました学校や教育委員会の取り組みだけでなく、市民活動団体とか民間事業者などに参加を広く呼びかけて、横浜市の教育関連事業を幅広く発信していく場として活用していきたいと考えております。

○大山委員
 この横浜教育フェスティバルが横浜市全体の教育関連事業とその活動の発表の場として、市民への、そして全国への横浜市の教育力を発信していく場として充実したものとなることを期待しまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

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