平成18年3月1日 平成18年度予算特別委員会

06/03/20UP

平成18年度予算特別委員会(福祉局・子育て事業本部関連)質疑
平成18年3月1日


 このたびの平成18年度予算第一特別委員会では、民主党ヨコハマ会を代表して、福祉局・子育て事業本部関係の質問をしました。質問項目と副市長・局長・事業本部長の答弁(質疑全文)は以下の通りです。


質問内容

1 横浜保育室事業
2 障害児地域療育センター運営・整備事業
3 小児医療費助成制度
4 児童手当
5 乳幼児ふれあい体験講座の充実
6 病院内きょうだい児保育モデル事業
7 放課後児童育成施策の推進
8 かがやけ横浜子どもプランの推進
9 第三者評価事業
10 介護サービス事業者による介護報酬不正受給
11 よこはまお出かけサポート事業


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○大山委員
 民主党ヨコハマ会の大山です。よろしくお願いします。
 きょう、我が党では私と菅野委員が質問をしますが、私から子育て施策を中心に、そして菅野委員から高齢者、そして障害者施策を中心に質問をしてまいります。よろしくお願いします。
 まず、横浜保育室事業について伺います。
 横浜保育室は、本市独自の施策として平成9年7月の制度創設以来、3歳未満児の待機児童の解消はもとより、一時保育や休日保育といった多様な保育ニーズにこたえてまいりました。平成18年2月現在、施設数は134カ所、定員は4,141人となっており、認可保育所や幼稚園預かり保育などとともに本市の保育資源として大きな役割を担っています。
 ところで、保護者が保育施設を選ぶ際に、保育時間や保育内容とともに保育料も重要な判断材料の一つとなっていると思います。横浜保育室の保育料は月額5万8,100円を上限に各施設が設定していますが、現在の保育料の平均額はどの程度か、また、横浜保育室の保育料負担の軽減策には現行どのようなものがあるのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 保育料の平均月額は平成17年4月現在5万4,097円となっております。
 また、現行の保育料負担の軽減策としては、兄弟が横浜保育室や認可保育所などを利用する場合、月額で1万8,000円、3歳児の場合は9,450円となりますけれども、これを減免する制度がございます。

○大山委員
 保育料の平均は月額約5万4,000円とのことですが、一定の所得階層以下の世帯にとっては、所得に応じて保育料が設定されている認可保育所と比べて負担感が大きいと考えます。平成18年度から新たに保育料の負担軽減制度を実施するとのことですが、どのような所得階層を対象とするのか、保育料軽減制度の具体的な内容について伺います。

○佐々木福祉局長
 前年の所得税が24万円未満の世帯について、保育料を月額1万円軽減いたします。対象となるのは、世帯年収に換算いたしますと、例えば夫婦共働きで子供1人の給与世帯の場合、約713万円未満、同じく子供2人の場合は約769万円未満の世帯となります。また、横浜保育室に2人以上入所している場合は、それぞれの子供について月額1万円を軽減いたします。

○大山委員
 保育料軽減の実施により、現在は保育料が高いことを理由に利用を見合わせている中所得階層以下の世帯についても新たに横浜保育室を利用するようになると思います。そこで、保育料軽減による効果について伺います。

○佐々木福祉局長
 中低所得階層の利用促進が図られると考えておりまして、平成18年度当初で新たに131人の利用増を見込んでおります。また、全利用児童の4人に一人、847人が保育料軽減の対象になると見込んでおります。

○大山委員
 保育料軽減制度の創設により保護者負担が緩和され、横浜保育室の利用が促進されることは施設運営にも大きなメリットになると考えます。
 さて、横浜保育室の中には、認可保育所でも対応が難しい重度障害児の保育に積極的に取り組んでいる施設もあります。一方、保育士配置の関係から、障害の重い児童の受け入れが難しいと考えている施設もあります。そこで、18年度から障害児保育を拡充するとのことですが、具体的内容について伺います。

○佐々木福祉局長
 障害の重い児童の受け入れを促進するため、現行の児童3人に対して保育士1人の配置に加え、新たに障害の程度などに応じて、児童2人に対し保育士1人、同様に1人に対し1人の配置ができるよう助成を拡充いたします。また、障害児保育を推進するため、4歳以上の障害児についても新たに助成の対象といたします。

○大山委員
 保育士配置を手厚くすることなどにより障害児の受け入れが一層促進されることを期待します。
 障害児保育も含めて多様な保育ニーズにこたえていくことが求められていますが、何より保育内容など保育の質を確保することが子供の健全な成長発達を保障していく上で大変重要なことであると考えます。そこで、横浜保育室においてより質の高い保育サービスが提供されるよう取り組んでいくべきと考えるがどうか、前田副市長に伺います。

○前田副市長
 横浜保育室の保育の質の向上につきましては、平成18年度から保育の第三者評価を新たに実施いたします。また、土曜日に研修機会の提供を拡大、研修内容の充実などに努めてまいります。また、保育業務を平成16年度から区に移管して3年目となりますので、より一層きめ細かな運営指導もしていきたいと考えております。

○大山委員
 横浜保育室が子育て中の市民にとってさらに利用しやすく多様な保育ニーズにこたえられるよう、また、保育の質の向上を図るためにさまざまな施策を検討し実施していくことを要望します。
 次に、障害児地域療育センターについて何点か伺います。
 療育センターについては、横浜市が全国に先駆け昭和60年に設置し、現在では障害児の専門療育機関として地域に定着しています。各福祉保健センターで実施される1歳6カ月児健診、3歳児健診などにより障害が疑われる場合、子供の障害を早期に発見し、早期に療育体制を確立することが重要です。障害児が療育センターで総合的な療育を必要なときに受けられるようにすることが必要ですが、近年この療育センターの利用者が急増していると聞いています。
 そこでまず、療育センターの新規利用者の推移はどのようになっているのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 平成14年度は1,286件、1センター当たり平均257件、15年度は1,838件、平均306件、16年度は1,966件、平均328件となっておりまして、3年間で約28%増加しております。なお、17年度の初診件数は2,000件を超える見込みで、1センター当たり平均約340件と予測しております。

○大山委員
 今の答弁で、療育センターの利用者が増加傾向にあることがわかりましたけれども、利用者が増加している原因をどのようにとらえているのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 市内の一部の地域で乳幼児数が増加していることに加えまして、従来診断名がつかなかった高機能自閉症、注意欠陥多動性障害、ADHDや学習障害、LDなど知的障害を伴わない子供たちがセンターを利用するようになったためと考えております。

○大山委員
 現在の市内6療育センターの平均初診待機期間が約3カ月あると聞いていますが、障害が疑われる子供の親の立場になって考えたとき、一日も早く診療を受けさせたいと思うのが当然であります。そこで、療育センターの初診待ちを解消するためにどのような取り組みを行っているのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 初診待ちを改善するための取り組みといたしまして、特に初診待機の著しい北部方面に地域療育センターの整備を進めております。また、既存の地域療育センターにおきましては効率的な運営に努め、初診枠数の増加等に取り組んでおります。

○大山委員
 待機を解消する抜本策はやはり施設を新たに整備することだと考えます。そこで、療育センターの施設整備の状況はどうなっているのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 療育センターは、昭和60年に磯子区に南部地域療育センターを開所したのを初め、現在までに方面別に6カ所を開設しております。現在、7カ所目として青葉区に仮称でございますが地域療育センターあおばを建設中で、平成19年4月に開所する予定です。
 なお、地域拠点施設としての性格や初診待ちの状況を踏まえまして8カ所目が必要と考えており、18年度には建設地等の調査に着手したいと考えております。

○大山委員
 ただいま局長から8カ所目の調査に着手するとの答弁がありましたけれども、具体的な場所については調査結果を待たねばならないと思いますが、この8カ所目をどの方面に整備する予定か、伺います。

○佐々木福祉局長
 現在、初診待ちの期間が比較的長い南西部方面に必要ではないかと考えておりますが、市内の乳幼児数の分布状態や交通の利便性などを勘案しまして調査検討を進めてまいります。

○大山委員
 障害児地域療育センターの利用者が増加し、各療育センターでは初診待ちの解消に努力をされているようですが、利用者が増加しており、新しいこども青少年局の障害児施策担当部門におきましては十分な検討を行い、8カ所目の療育センターの事業が着実に進みますよう要望をしておきます。
 次に、小児医療費助成制度について伺います。
 私も2歳の子を持つ親として、日々子供の成長を楽しみに見守っております。小児医療費助成制度については、安心して子育てがしやすい環境を整備するため、子供を持つ多くの親御さんから制度拡大についての要望が数多く寄せられております。
 そこで、現在の本市の小児医療費助成制度を利用している乳幼児の人数や該当者の比率はどのようになっているのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 ゼロ歳から5歳までの乳幼児約20万人のうち約15万4,000人に小児医療証を交付しており、該当者の割合は約78%となっております。

○大山委員
 1歳児から5歳児については所得制限があり、線引きをしているわけですから、当然助成を受けられない家庭があります。その方々からは、わずかに制限額をオーバーしたからことしから該当しなくなったとか、税金を多く払っているのに助成が受けられないとか、さまざまな意見や要望をお聞きします。同じように市に対しても直接市民の方から多くの要望が寄せられているとは思いますが、小児医療費助成制度拡大について、市民の方から市民からの提案などに寄せられた要望はどのくらい件数があるのか、また、どのような内容が多いのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 平成17年4月から18年1月末までに、市民からの提案などに寄せられた件数は54件です。また、昨年、かがやけ横浜子どもプランの策定に当たり実施したパブリックコメントでは15件の意見が寄せられております。内容は、所得制限の撤廃や就学前までの年齢拡大、また、本市に転入された方が以前に居住していた都市と比較した上での御意見などが寄せられております。

○大山委員
 市に直接寄せられる要望としては一つの事業としては多いのかなと思いますが、この制度は国の財政支援が行われていないため、各自治体が独自に実施せざるを得ない実情があり、そんな中、横浜市も厳しい財政状況の中、順次制度の拡大を図ってきてはいますが、子供を持つ多くの皆さんは東京都区部などでは就学前まで所得制限がないことをよく御存じです。一般の市民の方々にとっては、都道府県による補助率の違いやそれぞれの市町村の財政の規模、状況などを酌んで、横浜市はしようがないなと納得することはなかなかできないと思います。今住んでいる大好きな横浜市でも何とか工夫をしてほしいと思っています。
 この事業に限ったことではありませんが、居住地の違いにより制度が異なることに対する不公平感について市民の皆さんにどのように理解を求めているのか、前田副市長に伺います。

○前田副市長
 小児医療費助成につきましては、国の制度がございません。各自治体が独自に実施しておりまして、各自治体ごとに制度が異なることを御理解していただくよう努めております。次世代を担う子供たちを安心して育てられる環境づくりは国の責務でもございます。このため、本市独自に、また私も機会があれば厚生労働省に行くたびに制度の創設や積極的な財政支援を要望しているところでございます。

○大山委員
 そこで、実際に今後本市でこの事業を仮に拡大していくのにどれくらいの工夫が要るのかと伺いたいのですが、現在の所得制限額のまま小学校就学前まで年齢を拡大した場合にはどのくらいの予算が必要となるのか、また、5歳児まで所得制限を撤廃した場合はどのくらいの予算が必要となるのか、さらに、東京都区部と同様に小学校就学前まで年齢拡大を行い所得制限を撤廃した場合にはどのくらいの予算が必要となるのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 18年度予算は約70億円でございますが、これに加えまして、現在の所得制限額で就学前まで拡大した場合は約6億円の増、また、5歳児までの所得制限を撤廃した場合は約20億円の増、さらに小学校就学前までの拡大を行い所得制限を撤廃した場合は約30億円の増が見込まれます。

○大山委員
 本市のような人口の多い大都市では制度拡大を図るには多額の予算が必要になることはわかりますし、これまで拡大してきた制度を安定的に維持していくことも大変なことだと思います。
 最後に、中田市長のカレーランチミーティングで、これは抜粋ですが、小児医療費助成については何とか現状よりよくしていきたいと思っている、所得制限の撤廃については今後の財政状況を見ながら就学前までは拡大できないかなどを検討していきますと話されております。そこで、現在、入院は中学卒業までを、通院は5歳児までの児童を対象としていますが、就学前までの通院助成年齢の拡大や所得制限の緩和、撤廃に向けて工夫はできないものか、また、今後の実現性はどうか、前田副市長に伺います。

○前田副市長
 ただいま先生からも御指摘がございましたように、横浜市は大変子供の人口が多うございますので、小児医療費制度の拡大は大変な億単位の財政拡大を伴うわけでございます。このような中、平成16年1月から5歳児の通院について助成の拡大をやっとしてきたところでございます。今後の対象年齢や所得制限につきましては、財政状況等を見ながら検討してまいりたいと考えております。

○大山委員
 次に、今質問した小児医療費助成制度とセットで議論されることが多い児童手当制度について二、三質問します。
 この制度については今後法改正が行われ、制度の拡充が図られる予定となっていますが、これまで私のところへも所得制限の緩和、撤廃についての声が寄せられております。同じように、市にも市民の方から多くの声が届いているものと思いますが、まず、児童手当制度について市民からの提案などに寄せられた市民の声はどのくらい件数があるのか、また、どのような内容が多いのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 平成17年4月から18年1月末までに市民からの提案などに寄せられた件数は26件でございます。また、昨年のかがやけ横浜子どもプランのパブリックコメントでは12件の意見が寄せられております。内容は、所得制限の撤廃や手当の増額に関するものが多く、そのほか支給対象年齢の拡大などとなっております。

○大山委員
 所得制限を撤廃してほしいとの声が多いとのことですが、現行制度における児童手当の受給児童数や本市と全国の受給率はどのようになっているのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 本市の受給児童数は約21万人でございまして、小学校三年生までの児童数に対する受給率では本市が約63%、全国では85%となっております。

○大山委員
 全国に比べて横浜市の所得水準が高いでしょうから受給率は63%にとどまっていますが、今後法改正が行われ制度拡充が図られます。最後に、制度改正はどのような内容となっているのか、また、制度改正により受給児童数や本市と全国の受給率はどのように変わるのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 制度改正の内容は、支給対象児童が現行小学校三年生までが小学校六年生までに拡大されます。また、所得制限について、夫婦と子供2人のサラリーマン世帯では年収780万円が860万円に緩和されます。また、本市の受給児童数は約33万人となり、受給率では本市が約78%、全国では90%になると見込んでおります。

○大山委員
 今回の制度改正により小学六年生まで拡大し所得制限も緩和され、今後新たに支給対象となる方もあり、この制度に期待する市民の方も多いものと思っております。
 次に、新たに設置されるこども青少年局が取り組む思春期の子供への支援にある、小中学生を対象とした乳幼児触れ合い体験講座の充実について伺います。
 今の子供たちの状況を見ると、昔に比べて兄弟が少ない家庭が多いことや近所づき合いが希薄なために、子供たちが身近に赤ちゃんと触れ合うことが少なくなっています。そのため、子育てに関する知識や経験が不十分で、出産して初めて赤ちゃんを抱いたというお母さんも多くなっているのが現実だと思います。その意味でも、小中学校ぐらいの時期に赤ちゃんと触れ合う機会を持ち、命の大切さ、生きることのすばらしさを体験することは大きな意義があると考えます。
 そこで、小中学生を対象とした乳幼児との触れ合い体験事業などの現在の実施状況について子育て支援事業本部長に伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 ほとんどの区で何らかの形で子供たちやPTAの方などを対象とした思春期に関する講座を実施しております。そのうち半数以上の区で乳幼児との触れ合いなどの体験型の講座が行われております。内容としては、子供がおなかの中にいるときの大変さを知るためにジャケットを着用した妊婦の疑似体験、あるいは人形を使っただっこや沐浴の体験、さらに地域のお母さんに協力をいただき、実際の赤ちゃんと触れ合う体験などとなっております。

○大山委員
 私の住む港北区でも、福祉保健センターの助産師や保健師が小学校や中学校に出向いて妊婦の擬似体験や赤ちゃんと触れ合う事業を実施していますが、各区でもさまざまな事業を実施しているようです。そこで、触れ合い体験事業に参加した子供自身や事業に協力した赤ちゃんの母親がどのような感想を持っているのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 まず、妊婦の疑似体験をした子供からは、思っていたよりも歩くのが大変で、これからは妊婦さんに電車の席を譲ろうと思った、あるいは、お母さんの苦労がわかって感謝したいなどの感想がありました。
 触れ合いを体験した子供からは、とても重かったし、手や足を初めて見て小さいのに驚いた、かわいくて兄弟が欲しくなった、あるいは、沐浴を体験して父親になったら頑張ってみようと思ったなどが挙げられております。
 また、協力してくれたお母さんからは、思春期の子供に対しては必ずしもいいイメージを持っていなかったけれども、話をしてみて、まだちゃんと大切なものを持っていてくれると感じたなどの感想も寄せられております。

○大山委員
 子供たちが母親のおなかから生まれたことや命の大切さを理解したり、気持ちが優しくなることに役立っており、また、事業に協力した赤ちゃんの母親が参加した子供たちに対して親近感を持つ効果もあり、双方にとっての触れ合い体験になっているようでございます。この子供たちが将来親になったときに、この体験を生かしてくれることを期待したいと思います。
 そこで、18年度予算の乳幼児触れ合い体験講座の充実の内容について伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 このような体験型の講座は、例えば胎児人形などの教材も不足していることから、まだ先ほど申し上げたように半数の区で実施している段階です。そこで、まず区への貸し出し用として教材を購入するほか、講師となる人材を育成するための研修についても充実をしてまいります。また、事業の円滑な展開に向けまして各区における学校等との連携が進むよう、こちらからも支援してまいりたいと思っております。

○大山委員
 次に、病院内兄弟児保育モデル事業についてお伺いします。
 子供が病気になった場合の家族への支援等について市民の方々からの要望も多いようですが、平成18年度予算で入院中の児童の兄弟児に対する一時保育サービスが盛り込まれています。子供の長期入院というのは、付き添いから身の回りの世話など保護者には負担の大きいものではありますが、一方、その兄弟児についても、その間、感染症予防などのために病棟に入れず、病棟の外で一人で待つという状況があると聞いています。
 そこで、入院中の児童の兄弟児の保育にどのような考え方で取り組むのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 本市におきましては、かがやけ横浜子どもプランの中で子育て家庭の育児不安の軽減方策の一つとして、子供が入院した場合の病棟保育や入院した児童の兄弟児の保育の推進を目標として掲げております。この病院内兄弟児保育モデル事業は、その考え方を施策化しまして、保護者の入院児への付き添い等により保育に欠ける児童に対しまして、市大附属病院の職員向けの院内保育所を活用して必要な一時保育サービスを行うものでございます。

○大山委員
 確かに院内保育所などの既存の施設を活用しながら効果的に事業を進めることは必要なことと思います。
 ところで、市内には小児科病棟のある病院がほかにもありますが、なぜ市大附属病院でモデル事業を行うのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 市大附属病院の小児科は、他の大きな病院と比べても、特に膠原病等の患者が多いため、長期入院患者が非常に多くなっております。もう一つは、小児科病棟は付き添いの保護者しか入室できないため、病棟の待合スペースで一日に数人の兄弟児が子供だけで待つというような状況が見られます。こうしたことから必要性も高く、モデル事業を実施することとしたものでございます。

○大山委員
 市大附属病院の小児科は、市民総合医療センターと機能分担を行い、長期入院患者が多いため院内学級も併設されているなど、確かにニーズは高いものと考えます。このような支援に対するニーズは全国的にもあるかと思いますが、他都市の実施状況はどうなっているのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 他都市では、埼玉県立小児医療センターで病院の事業として院内に設けた保育室を利用した兄弟児保育を行っております。その他では、病院がボランティアグループと連携して実施している事例はありますが、ボランティアの安定的な確保やそれをコーディネートする人材の育成などの課題もあると聞いており、モデル事業の実施においては院内保育所で有資格の保育士による保育を行うことを考えております。

○大山委員
 本市の取り組みは、院内保育所を活用するという実施方法の面から見ても他都市に余り例を見ない取り組みと言えます。ただ一方では、市大附属病院やほかの関係機関などとの連携など課題もあると思いますので、今後それらの十分な調整も必要だと思います。
 そこで、今後どのようなスケジュールで事業を進めていくのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 現在、市大附属病院に対し補助金を交付しましてモデル事業を実施する方向で病院側と調整を進めております。来年度早々には市大附属病院との間で利用料、実施時間などの事業内容について確定しまして必要な施設改修等を行った上で、早ければ夏ごろの事業開始を目指したいと考えております。また、18年度以降については、モデル事業の実施状況を踏まえまして実施方法や今後の展開等について検討してまいります。

○大山委員
 次に、放課後児童育成施策の推進に関して放課後キッズクラブ事業及びはまっ子ふれあいスクール事業について何点か伺います。
 まず、キッズクラブについてですが、平成16年9月に事業が開始されて9区9校に開設された後、昨年の9月に残る9区において1校ずつ開設されて全区で実施されました。これは今までも話が出ていました。まずは全区展開ということですけれども、そして18年度から本格実施ということで新たに12校の開設が予定されておりますが、今後のキッズクラブについてはどのように整備していくのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 おっしゃいましたように、16、17年度については実践的な検証期間ということもありまして、まずは1区1校ずつの開設としてきました。18年度につきましては12校ということですが、1区1校にこだわることなく、保護者や地域からの開設要望が強いこと、2教室分のスペースの確保が可能であることなどを勘案しまして、選定し整備してまいりたいと考えております。

○大山委員
 16年度及び17年度の2カ年にわたる検証期間中、キッズクラブは運営委託の形で実施されてきましたが、先ほど瀬之間委員からの質問にもありましたが、事業本部長が答弁されていたように、本格実施となる18年度からは学校や地域の特性を生かしたより柔軟な運営をするために補助方式に変更すると聞いています。
 そこで、キッズクラブについてはそれぞれに特色があっていろいろな活動が展開されているようですが、そうした活動の特色との関係で今後どのような考え方で運営費を補助していく考えであるのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 放課後キッズクラブの運営費補助につきましては、18年度から新たに参加人数の実態に応じて大規模加算や障害児受け入れ加算等を導入してまいります。また、今後は活動内容をメニュー化することによって個々の活動に対し加算補助を行うなど、運営や活動の実態に応じた効率的な支援、助成が行えるよう検討してまいります。

○大山委員
 キッズクラブについては、市民提案等により、保護者や子供たち、学校関係者からも開設の要望の声が上がっていると聞いていますが、財政的な制約もあり、そうした要望に直ちにこたえていくことは非常に難しいと考えます。
 そこで、問題となるのは、同じく学校施設を活用した放課後の居場所ということで、キッズクラブとはまっ子ふれあいスクールとの事業内容の違いを最小限にしていくことも求められるのではないかと考えます。既にはまっ子ふれあいスクールについても充実を図る予定であると聞いていますが、はまっ子ふれあいスクールについてどのような充実策が図られるのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 はまっ子ふれあいスクール事業の充実につきましては、まずプログラム内容の充実はもちろんのことですが、午後7時までの開設時間の延長やそれに伴うおやつの提供等についても実施してまいります。また、この充実に当たって安定した運営を確保するため、運営主体としてNPO法人等も活用してまいります。
 なお、実施に当たりましては、子供たちや保護者の要望を初め、学校施設の状況や地域の協力体制などを踏まえて、条件の整ったところから実施ということにしたいと考えております。

○大山委員
 既に充実策については各はまっ子ふれあいスクールの運営委員会に照会していると思いますが、18年度において充実が図られるはまっ子ふれあいスクールはどの程度見込んでいるのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 すべてのはまっ子ふれあいスクールの運営委員会に対して意向確認調査及びヒアリングを実施しております。そうしたところ、15カ所のはまっ子ふれあいスクールにおいて要望がありましたので、充実を図っていく予定でございます。

○大山委員
 留守家庭児童も含めたすべての子供たちが安全で豊かな放課後を過ごせるように、多くのはまっ子ふれあいスクールにおいて充実策に取り組まれることを期待しますが、その安全ということに関して少し伺っておきます。
 既に放課後の安全な居場所については我が党の谷田部議員が予算関連質疑で質問し、中田市長からは、ことし1月から、はまっ子ふれあいスクールやキッズクラブを利用して保護者の迎えを待って子供たちを帰宅させるという安全下校サポート事業を開始したと伺っています。これまでキッズクラブやはまっ子ふれあいスクールにおいて下校時を初めとする子供たちの安全についてどのような取り組みが行われてきたのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 これまでの放課後の子供たちの安全確保ですが、日没以前は方面別の集団下校、日没後は保護者による迎えを徹底してきております。このほか、防犯安全管理研修の実施、マニュアルの作成配付、県警や警備会社による現場での実地訓練などの取り組みを行っております。
 なお、子供たちの安全下校サポート事業については、事業開始後1カ月もたたないうちに、市長も申し上げましたように2,600名もの申し込みをいただいているところでございます。

○大山委員
 下校時の安全に関して、放課後児童クラブの中には指導員が子供たち全員を送っているという事例もあるようです。子供たちが特定しているだけに、そうした取り組みも可能かとは思いますが、キッズクラブやはまっ子ふれあいスクールにおける安全下校の取り組みの強化についてはどのように考えているのか、本部長の考えを伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 子供たちの安全を確保していくためには、行政だけではなく、保護者や地域の方々の協力が不可欠であると考えております。そこで、今後はこれまでの取り組みに加えて、例えば保護者会に参加されている皆さんによる当番制の送り迎えやスタッフによる送り迎え、地域の方々による送迎ボランティア、さらに安全下校週間というようなものの設定など、さまざまな方策について関係者の皆さんと一緒に検討してまいりたいと考えております。

○大山委員
 何をおいても子供たちの安全確保は最優先で取り組んでいかなければなりません。地域の中で学校は最も安全な施設の一つであると思いますが、その学校から塾、学校から自宅など、子供たちの行動を大人たちがしっかりと把握し、子供たちが事故や事件に巻き込まれないように地域に広がりのある対応がとれるよう、行政としても最大限の取り組みをお願いします。
 次に、かがやけ横浜子どもプランの推進について伺います。
 かがやけ横浜子どもプランは、横浜の次代を担う子供たちが健やかに生まれ育つ環境の実現を目指した行動計画で、18年度は2年目の取り組みとなります。目標を円滑に実現していくためには、当然ながら行政の取り組みに加えて広く市民や事業者の協働を基盤とする必要があり、企業による従業員に対する支援の充実が不可欠であると思います。こうした視点に立ち、本市ではプランに基づき、既に企業との懇談会が設置され、企業の取り組みへの促進策などについて検討を始めていると聞いています。また、次世代育成支援対策推進法により、従業員301人以上の事業所には事業主としての行動計画の策定が義務づけられています。
 本市においても、企業との懇談会の設置に先立ち、昨年9月に市内の企業に対して行動計画の策定状況や取り組み内容についてアンケート調査を実施したようですが、そこでまず、アンケートを実施した昨年9月時点での市内企業の行動計画の策定はどのような状況であったのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 事業主の行動計画は、先生も御指摘のとおり、国への届け出が義務づけられていますが、本市は届け出の状況を把握できる立場にないことから、昨年9月に、独自に事業所、企業に対して統計調査に用いる名簿の利用許可を総務省から得まして、横浜市内に本社がある従業員300人以上の企業を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、67社から回答を得ました。67社のうち75%に当たる50社は行動計画を策定済みでございましたが、7社は今後策定の予定、15%である10社については未定という回答でございました。

○大山委員
 行動計画の策定が義務づけられている割には、当時は意外なほど策定率が低かったように思います。一方、一般事業主の行動計画は、国の労働局への届け出の義務があると聞いています。
 そこで、一般事業主の行動計画策定に関する届け出状況は最近ではどのようになっているのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 厚生労働省が発表した12月末現在の届け出状況によりますと、届け出義務がある企業は全国で1万2,557社あるのですが、うち届け出があった企業は1万2,183社となっており、届け出率は97.0%に達しております。都道府県ごとの労働局の集計では、47都道府県のうち24の県で既に届け出が100%に達しているとのことです。神奈川県の届け出率については97.5%となっておりまして、企業数では15社が未届けとなっております。なお、横浜市内に限定しての状況は発表されておりません。

○大山委員
 昨年の秋以降、急速に策定義務のある企業からの届け出が進み、現在ではほとんどが行動計画を策定しているようです。しかし、企業としても理屈の上では従業員の子育て支援に取り組むことの必要性は理解していると思いますが、厳しい競争にさらされている企業の本音としてはコストのかかる課題ととらえている面もあると推察します。
 そこで、昨年設置した市内企業との懇談会の設置目的と組織構成はどのようになっているのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 仕事と子育てを両立できる環境づくりや父親の育児参加を促進するためには企業による従業員に対する支援が不可欠であることから、企業関係者と率直に意見を交換する場が必要と考えまして、懇談会を設置したものでございます。
 構成メンバーは、子育て支援に関する先進的な取り組みで神奈川県労働局のファミリーフレンドリー企業表彰を受けた企業のうち5社の人事担当の課長クラスの参加を得ております。また、商工会議所や学識経験者、子育て関連のNPOの方及び本市職員を合わせまして計13名で構成をしております。

○大山委員
 市内企業と率直に意見交換をする場を設置したことは意義があることですが、企業といっても大企業から中小企業まで幅広くある中で、大企業だけが取り組めばよいという課題ではなく、市内企業の大半を占める中小企業を含め広く取り組みを促進していくことが重要です。報道によれば、子育てに積極的な企業にメリットを与える制度の導入を決めた自治体もあるようで、例えば石川県の金沢市では、子育てに優しい企業と市が認定した場合、市が発注する事業の入札の優遇制度を始めているようです。企業の取り組みを促進するアイデアにはさまざまあると思いますが、企業に努力を求めるだけでなく、行政として企業の努力を促進する何らかの支援策は必要と考えております。
 そこで、市内企業との懇談会はどのようなことを検討の成果として目指しているのか、伺います。

○鈴木子育て支援事業本部長
 従業員の子育てを支援する取り組みは、もちろん大企業だけではなく中小企業も含めて推進していく必要があると思います。検討を通じまして、まず、子育てしながら働きやすい職場環境をつくっていくことは、コストの増大を招くということではなくて、かえってすぐれた人材を確保し企業の利益にもつながるのだという認識を基本に置くことが確認できました。また、今後、中小企業を含め多様な企業が共通に取り組める事例集や、NPOなどが企業と協力できるメニュー、また、行政と企業が協働で進められるメニューなど、企業の子育て支援のためのマニュアルを横浜モデルとしてつくっていくことを目指しておりまして、18年度はモデルの作成に向けた具体的な検討に入っていく予定でございます。

○大山委員
 中小企業を含めた取り組みが促進できるような今後の実りのある議論を期待します。
 さて、子育て支援や次世代育成支援に関する施策についてさまざま質問してまいりましたが、2点ほど前田副市長に伺います。
 今も子育てと仕事の両立と言うはやすしだとは思うのですが、前田副市長は、副市長という重責を担いながら小さなお子さんの子育てをしているわけです。そこで、1つ目の質問ですが、働く女性の視点から、今の社会の仕事と子育ての両立の状況についてどのように感じているのか、副市長自身の日常も踏まえてお答え願えればと思います。

○前田副市長
 私も今、子育てしながら副市長としてのお仕事をやらせていただいているわけですが、大変楽しんでと言うとおかしいですけれども、今までで一番よかったのはお母さんになれたことだということで、子供2人に恵まれたことは非常にラッキーな人生だったと思っております。今、下の子は2年間認可外に行っていたのですが、やっとことし認可保育園に移ることができました。やはり帰りが不規則で遅くなることもありますし、子供は病気になりますので、夫を初めとして周囲の方々の助けをかりております。
 どんな周囲の方が助けてくださるかといいますと、これまでお世話になっていた認可外保育園にもまだお世話になることもありますし、それから、上の子の同級生のお母さんたちとか、子供の病気が長期化するときは私の実家の母が新幹線で上京してきます。そういうふうにいろいろな方の協力を得ているわけでして、公的保育サービスをいろいろ拡充することも必要だと思うのですけれども、それだけでは解決できない問題もございます。
 私も子供を産んで初めてわかったのは、子供を産んだ限り、親は一人では育てられなくて、地域の方々の助けを得ながらしか子育てができていけないのです。これは逆に言えば、大変なことではありますが、親となったことによって子供を中心に親が新たに地域の新しい人間関係を築くということでもありますので、ぜひ働いているお母さん、お父さんたちには、地域の中でお互いに協力し合えるお互いさまの関係をつくっていただきたいと思っております。

○大山委員
 想像したとおりというか、いろいろ御苦労されて、また、周りの協力があってこそのことだというのも私も共通して、私のかみさんの実家からもよく手伝いに来ていただいたりもしておりますので、同じようなお話だなと思って聞いておりました。
 そして次に、最後ですけれども、15年度に前田副市長が就任し、それとほぼ同時に子育て支援事業本部が設置され3年間が経過しようとしていますが、この間に本市の子育て環境はどのように変わってきたと考えているか、また、他都市と比べて特徴的に言えることがあれば、あわせて伺います。

○前田副市長
 私の就任当時は、先生方も御存じのとおり、横浜市の保育所の待機児童数は全国最多ということで、この待機児解消が喫緊の課題でございました。この3年間、先生方の御理解も得ることができまして、他都市に例がないほど急ピッチで保育所をふやすことができましたので、待機児童も大幅に減少させることができました。また、先ほど申し上げましたように女性の働き方も多様化しておりますので、休日保育や24時間型緊急一時保育や病児病後児保育の展開など、ある程度多様な保育ニーズへの対応については前進できたと考えております。
 しかし一方では、御存じのとおり、横浜市は在宅で育児をなさる専業主婦の方が圧倒的に多い地域でございます。この専業主婦の方々への子育て支援も、来てみますと、まだまだおくれた状態でございまして、この3年間で親と子の集いの広場、育児支援センター園、幼稚園はまっ子広場などの拡充や地域子育て支援拠点の設置など、市民との協力で地域での子育て支援も充実させていけることのスタートが切れたと思っておりまして、次のこども青少年局に移りましても特にこの在宅の子育て支援はかなり急ピッチに広げていかなければならないと思っています。
 それから、小学校の子供の放課後の安全確保も問題になっておりますが、これについても放課後キッズクラブなどの新たな事業を展開できたこと。
 それから、この3年間の感想ですが、何といっても横浜は市民の方々の力がすごい。子育て当事者のお母さんたちだけではなく、子育てを支えようという強い意欲と能力をお持ちになる市民の方も多くて、その方々と行政が協働で事業が展開できたことが大きな意義だったと思っています。

○大山委員
 今、本当に現役で子育てをされておられる体験から、ぜひ横浜市の施策に今後とも生かしていただきたいと思います。
 次に、先ほど横浜保育室のときにも触れておられましたが、第三者評価事業についてお聞きします。
 本市では、福祉サービスの質の向上策の一つとして、平成15年度より第三者評価に取り組んできました。この間、横浜市福祉サービス第三者評価検討委員会を設置し、福祉サービスへの本市独自の評価基準づくり、評価機関の指定、評価調査員の要請等を行い、今年度から本格的に第三者評価を実施していると聞いております。
 そこでまず、第三者評価の受審状況についてお聞きします。これまでの施設種別ごとの受審件数と受審率について伺います。

○佐々木福祉局長
 平成18年2月1日現在で評価機関と評価受審契約を締結した施設は、特別養護老人ホームが21カ所で、市内の施設のうち24%が受審しております。同様に、介護老人保健施設は8カ所で受審率が13%、障害者入所施設は4カ所で24%、保育所は31カ所で9%となっております。

○大山委員
 まだ事業が始まったばかりですから、受審件数や受審率で事業実績を論じるのはいささか酷であるとの気もいたします。今は、事業の目的や趣旨を多くの市民、事業者に理解していただくため、第三者評価が福祉サービスの質の向上に有効であることをアピールしていくことが肝要だと思います。
 そこで、これまで第三者評価の受審が質の向上につながったという具体的事例はあるのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 具体的な改善の取り組み事例を3つほど申し上げますと、一つは、苦情相談のための第三者委員を設置していなかった介護老人保健施設において来年度から設置に向け準備を進めていること。いま一つは、保育所において衛生清掃マニュアルをより実用性の高いものに改訂して職員の間での共有化を図ったというものがございます。またもう一つは、特別養護老人ホームにおきまして新たに訪問者ごとに面会票を御記入いただくことにして、担当職員がこれに対応することで施設と家族とのコミュニケーションの機会がふえたといったことがございます。
 また、具体的な改善には至っておりませんが、施設運営の課題が明確になって、改善を今検討しているところだというのもございますし、また、みずから提供するサービスの現状が認識でき、職員の意識改革につながったという事例もございまして、第三者評価の受審がサービスの質の向上につながっていると考えております。

○大山委員
 第三者評価事業は、サービスの質の向上のための重要な施策であると思います。できるだけ早い時期にすべての事業者に受審していただけることが望ましいと思います。そのために、福祉局として計画的に事業を推進するため、受審件数や受審率などの数値目標が必要と思いますが、いかがでしょうか。

○佐々木福祉局長
 第三者評価はサービスの質の向上に向けた事業者の自主的な取り組みを支援するものとして、事業者がみずからの意思で主体的に受審していただくこととしております。また、事業開始間もないということもありまして、現在は、実際に評価を行う評価機関や評価調査員の数に限りがございます。そのため、現段階では受審件数や受審率などの数値目標を示すということはちょっと難しい面があると考えておりますけれども、第三者評価の趣旨を踏まえまして、各施設において3年に一回程度受審していただくことを目標としたいと考えております。
 多くの事業者が第三者評価を受審し、市民の方の福祉サービス選択に役立つよう、引き続き受審件数、受審率の向上に努めてまいりたいと考えております。

○大山委員
 今、受審件数、受審率の向上に努めていきたいとのことですが、事業者を受審しようという気持ちにさせるためには、現在取り組んでいる受審料の助成や受審のメリットの広報だけでは十分でないように思われます。今後さらに受審を促進していくために事業者に対する誘導策が必要と思いますが、その辺どうか、伺います。

○佐々木福祉局長
 御指摘いただきましたとおり、受審料助成やホームページ、チラシでの広報以外にも、事業者の方に対する誘導策が必要であると考えております。現在、保育所については、市有地貸与による整備や市立保育所の民間移管の際に、第三者評価の受審を条件の一つとしております。また、18年度からは保育所に対する管理費助成を加算する際に、保育サービスの実施状況のほかに第三者評価の受審も考慮することとしていきたいと考えております。さらに、受審した施設に対し、市から第三者評価を受審した証明書を発行するなど、今後も受審による付加価値を高めていくということを検討してまいりたいと考えております。

○大山委員
 次に、介護サービス事業者による介護報酬の不正受給に関してお聞きします。
 4月から介護保険法の改正により、サービスの質の向上と悪質な事業者の排除を目的に事業者の規制が見直されております。事業者の欠格事由が追加され、指定取り消しを受けた者は5年間指定を受けることができなくなるなど、新たなルール化がなされています。介護保険制度が導入され、多くの事業者が参入し、利用者はさまざまな介護サービスを選択できるようになりましたが、一方で不正を働く事業者も出てきたわけです。
 先日、介護報酬の不正受給の未返還額は全国で27億5,000万円という報道がありました。平成12年度から16年度の5年間で、架空請求などの不正により事業所の指定を取り消された悪質な245事業所に対し加算金を含め返還を求めた約42億5,000万円のうち、7割に近い金額が返還されていないということです。お年寄りから集められた保険料がこうした使われ方をされていることは許されないものがあります。
 そこで、横浜市が介護報酬の不正受給に対して返還請求した事業所と額はどれくらいあるのか、そのうち未返還となっているものはどれくらいか、伺います。

○佐々木福祉局長
 平成12年の制度開始からことし1月までの間に10事業所に対して返還請求を行っております。請求額は、不正受給額に罰則的な意味も含めた40%を加算した約1,530万円となっております。このうち返還されていないものは約3割の500万円で、2事業所となっております。

○大山委員
 全国の状況から見れば、返還請求額、未返還額とも、横浜市の規模からすると少なくなっていると思います。4月からは地域密着型サービスなどの新しいサービスが始まり、多くの事業者が参入してくることが予想されます。事業者がふえてくると、それに応じて不正受給する者もあらわれ、その結果、返還請求額がふえ、未返還額も一定の割合になってくるのではないかと危惧もしております。
 そこで、不正受給を返還させるに当たって現在課題となっていることはどのようなことか、伺います。

○佐々木福祉局長
 不正受給者は原則として指定を取り消されるため、返還資金がない状態や事業者が所在不明となる場合がありまして、返還が滞ることが課題でございます。また、関係書類の改ざんなど不正が複雑多岐にわたる場合には、返還額の確定に時間と労力を要するといったことも課題の一つになっております。

○大山委員
 介護保険給付費が増加する中、持続可能な制度となるように今回の制度改正が行われたわけですが、先ほど述べましたように、悪質な事業者に対する規制も強化されたわけです。これらは主に県が所管するものではありますが、介護報酬の支払いを適正に行っていくことは保険者としての大事な責務であり、不正受給に対する介護報酬の返還を適切に処理していく必要があると思います。
 そこで、今後横浜市として不正受給を返還させるに当たってどのように取り組んでいこうとしているのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 不正受給については、確実に返還させることが必要だと考えております。このため、事業者の所在や状況を的確に把握し、実効性のある返還計画を作成し履行させるなど、適切な対応に努めてまいります。また、今回の介護保険法の改正により、指定取り消しに至る前に行われる業務改善の勧告や命令などの権限が都道府県に付与されることになります。これにより、改善意思のある事業者は事業を継続しながら返還できるようになりますので、県との連携を密にいたしまして不正受給に対し適切に取り組んでまいります。

○大山委員
 介護保険は、利用者からの信頼により成り立つものであります。そのためにも、介護報酬のむだ遣いをなくすよう保険者として努力していただきたいと思います。
 最後に、よこはまお出かけサポート事業について伺います。
 在宅生活を送る要介護高齢者の増加や障害者の社会参加の機会が増加してきています。本市においても、市営バスを初め民間路線バスにおけるノンステップバスの導入、駅におけるエスカレーター、エレベーターの設置が進み、移動に伴う困難も緩和されてきていると認識しています。しかし、重度の要介護者などの場合には単独での外出そのものが困難であり、家族の介護を受けながら自家用車等を使用して外出せざるを得ないのが現状と考えます。
 本市においては、要介護となった高齢者を対象とし、車両を使用しての外出支援サービス事業を行ってきています。これまでの外出支援サービス事業を実施する中で、高齢者の外出をめぐる課題としてはどのようなものがあったのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 市の社会福祉協議会に委託をして外出支援サービス事業を実施しておりますが、課題といたしましては、通院等に利用目的が限定されていること、原則、利用者側が介護者を確保しなければならないこと、また、利用回数を週1回としていること、こういったような点で利用しにくいとの利用者の声が寄せられておりまして、これらの点を改善していくことが課題であると考えております。

○大山委員
 市の事業以外にも、市内では民間の団体が高齢者等を対象とし、車両を使用して移動のサービスを提供しています。今回、市内のNPO法人からの提案により、本市との協働事業のモデル事業としてこうした福祉移動サービスの利用に係る相談等を行うよこはまお出かけサポート事業が18年度から実施されることになりましたが、今回協働事業を提案してきた団体はどのような団体であるのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 提案団体は特定非営利活動法人横浜移動サービス協議会です。この団体は平成12年9月に発足いたしまして、介護を必要とする高齢者等の移動サービスを提供するボランティアの団体や個人をつなぐ活動を行っております。これまでの活動は、市民への案内用の移動サービス実施団体名簿の作成、団体の運営に関するアドバイス、移動サービス利用にかかわる相談などを行ってきております。なお、44団体13個人がこの協議会に参加しております。

○大山委員
 さまざまな団体が市内で移動サービスを提供しているわけですが、実際に車を運転するドライバーの多くはボランティアであると聞いていますが、高齢者等の外出の支援となれば、介護を伴う場合や安全運転の励行など適切な対応の図れる人材の育成が重要であると考えます。今回の事業の実施による効果としてはどのようなことが期待されるのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 今回の事業では、サービス利用における相談事業、サービス従事者の人材育成、情報の発信などの事業を関係団体のネットワークを活用しながら実施することとしております。
 相談事業では、専任の相談員を配置し、利用者の心身の状況や団体のサービス内容について相談を受けることで、利用者と提供者の食い違いによる不満を解消できることが見込まれます。また、人材育成については、協議会に参加していない団体に対しても運転ボランティアの研修を実施することで、市内の移動サービスの質の向上が図られるものと考えております。さらに、情報の発進につきましては、活動に関する情報誌の発行により、サービスを必要としながらこうした活動を知らずにいたという方の利用が促進されるなどの効果が期待されます。

○大山委員
 今回の事業は官民の協働により実施するわけですが、協働の効果をより大きいものとする取り組みが重要であると考えます。そこで、協働事業において、本事業実施団体と本市のそれぞれの役割はどのようなものになると考えているのか、伺います。

○佐々木福祉局長
 今回の協働事業に当たり提案団体の役割としては、これまでの民間活動の経験と全市的なネットワークを活用して、個々の事業の企画と実施を担います。本市の役割は、個々の事業が円滑に実施できるような環境調整を行うことが考えられます。例えば、事業実施団体は運転ボランティア育成の研修のプログラムの作成と必要な教材や講師の確保を行い、また、本市は研修の実施場所の提供や事業の広報を担うといったような役割が考えられると思っております。

○大山委員
 今後こうしたサービスの需要は高まっていくものと考えますが、市としても今後の支援をよろしくお願いします。
 以上で終わります。
 ありがとうございました。


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