平成21年03月26日

09/04/13UP

21年度予算 賛成討論(21年3月26日)

 私は、ただ今議題となっております、市第88号議案、平成21年度横浜市一般会計予算、以下関連諸議案につきまして、民主党ヨコハマ会を代表して、原案に賛成の立場から、意見を申し上げたいと思います。

 21年度の予算編成に入った、昨年9月時点で、170億円の収支不足が見込まれていましたが、その後の急激な経済情勢の悪化により、最終的な収支不足額が270億円に拡大するなど、危機的な状況の中での予算編成で、財源の確保も大変だったと聞きます。
 市債の発行額が、市全体としては、中期計画における発行抑制の範囲内という財政規律を維持しつつ、一般会計では、対前年度5%減の枠をはずして、増額しました。しかし、特別会計などで発行する市債で、計画に対し、これまで発行を抑制してきた分を、一般会計で発行する市債枠に振り分け、将来の負担を増加させるものではありません。
 また、財政調整基金についても、歳入不足の補てんのために、11年ぶりに当初予算で、経済対策の財源として約22億円を活用しました。

 中田市長は、「危機的な財政状況を踏まえた財源確保の「工夫」ということも重要で、財政規律を維持しつつ、一般会計での市債発行の増額や財政調整基金の活用も図ってきた。」と本会議でさらっと答弁されていましたが、しかし、この「工夫」も、就任以来、「将来世代への責任」というものを常に考え、その上で、横浜市の将来の発展のため、市債残高の計画的な縮減に一貫して取り組んできたからこそできた「工夫」であり、だからこそ、今起こっている経済状況に対しても、他の自治体に比べれば対応もできているものと評価をします。

 次に、財源確保策とあわせ、歳出面では、「庁内課題解決プロジェクトチーム」を設置し、きめ細かく、聖域を設けることなく約940件の事業の見直しを
行い、全体では、98億円の縮減をはかってきましたが、市役所内部経費の削減や、事業の見直しなど、行財政改革の取組に関して、わが会派がこれまで求めてきたことや、予算審議での質問を踏まえて、いくつか触れたいと思います。

 まず、1つめは、民営化・委託化の推進です。
 私どもは、「民間でできることは、民間に」を徹底して進めるべきとの考えから、これまで毎年の予算提言で、「家庭ごみ収集運搬業務の民間委託」の拡大を求めてきましたが、現状の家庭ごみ全般の委託を実施済みの3区に加え、来年度から新たに、プラスチック製容器包装の収集運搬業務の委託を新たに7区で実施するとしたことに大変評価をしています。これを機に、収集職員を108人減らすことができ、運営費も含め、年間6億4000万円の削減効果が見込めるとされます。
 また、今後、22年度以降は、ビン、缶、ペットボトルにも対象を広げ、全18区に拡大をしていくという方針を示していますが、着実な民間への委託拡大を期待しています。
 他方、現在、中区など3区で行っている家庭ごみの全品目の民間委託を、燃やすごみについては、直営で行うとの見直しの方針について、確かに、全品目の委託は、新たな民間業者の参入の負担が重いということも理解できますが、これまでの、現行の委託区における民間事業者の実態や、今後の事業への参入機会や雇用の創出など、様々な見地から検討する必要があると思われます。
 また、他の民営化・委託化の取組について、学校給食調理業務の民間委託は、来年度新たに20校で、合計で105校で、公立保育所の民間移管は、新たに4園で、累計で24園と、当初の課題を踏まえつつ、着実に進め、定着してきていると思います。今後も推進していくことを期待します。

 次に、外郭団体の改革について。予算案の質疑の中で、取り上げてきましたが、まずは、外郭団体の協約の進ちょく状況の確認だけではなく、経営分析の視点を取り入れるなど、更に積極的に経営改革を進めていく必要があると考えます。
 また、国家公務員のいわゆる「わたり」と言われるものが問題となっていますが、わが会派の「市の外郭団体への本市OBの常勤役員への再就職はやめるべきではないか」、との指摘に、中田市長は、「今後も、外部の有識者で構成される「横浜市外郭団体等経営改革委員会」で議論を進めながら、引き続き必要な改善はしていく。」との答弁でした。
 この「外郭団体等経営改革委員会」での検討内容を踏まえ、経営改革に関する方針をそれぞれ策定し、外郭団体の自主的・自立的な経営の達成を目指していくとのことですが、更なる改革を期待したいと思います。

 次に、国および県の外郭団体などへ定例的に負担している会費等の負担金の見直しについてです。
 我が会派は、国および県の外郭団体などへ定例的に負担している会費等の負担金について見直しを求めてきましたが、来年度予算において、43件、削減額は約500万円ですが、まずは、見直しに「着手」されたことについて評価をします。
 中田市長も、本会議の答弁で、「今回できなかったものについても、規則や規約などで負担金額が決まっているものや、他都市などとの連携、調整が必要で、ただちに横浜市だけで見直すことが難しいものなどを説明し、22年度以降の見直しに向け、例えば、負担金による本市が受ける利益を検証すること、また、交付先団体に余剰金がどれくらいあるかを把握する必要があることなど、さらに徹底した取組を行い、その上で、他都市と連携、協力しながら、国等の公益法人などへ見直しを働きかけていく。」としています。
 22年度予算に向けての、更なる徹底した見直しを期待します。

 さて、今申し上げたようなことも含めた、行財政改革を強力に推進するため、21年度から2年間の時限的な組織として設置される「しごと改革推進室」ですが、仕事の効率化や、より一層の事業の検証、見直しを集中的に進めていき、見直しにあたっては、外部の有識者の意見も聞きながら、公民の役割分担などについても、改めて検討する必要があるとしています。
 「しごと改革推進室」は、更なる市役所内部経費の見直しや、外郭団体改革も担うとされています。言うのは簡単ですが、実際に成果を出していくのは、大変な苦労があると思います。
 「役所の常識を打破する」とうたっていますが、やはり、役所の方は、常識的な方が多いように感じられますので、もうすでに人事やメンバーの骨格は、決まっているのかもしれませんが、推進室のトップである理事級の室長や、スタッフ、改革推進プロジェクトのメンバーは、外部の人材も含めて、ある意味「常識的ではない」発送・思考回路をもった人材を据えられればと思います。しっかりとした体制を構築し、成果を出してほしいと思います。大いに期待をしています。

 次に、緊急経済対策について、
 昨年来の経済環境の悪化に対応するため、本市では、昨年11月に市長を本部長とする「横浜市緊急経済対策本部」の設置に始まり、年末から年始にかけての緊急雇用対策としての住居確保や雇用確保対策、そして、1月28日には、21年度予算案の発表に先立ち、「21年度横浜市緊急経済対策」を公表するなど、行政としてのできる限りの対応を迅速に、的確にとってきたと評価します。
 この緊急経済対策は、中小企業の経営の安定、市民生活の安定、社会資本の長寿命化を3本柱で、さらに緊急的な取組みと、将来に向けた取組みを組み合わせた内容で、将来の横浜の発展を視野に入れた施策内容で期待をします。
また、現在の経済的な危機を、社会の構造改革の契機ととらえ、「新しい公共のあり方」を実現するきっかけとしてもらいたいと思います。ピンチをチャンスに転ずる積極的なマインドを、横浜開港150周年事業などを通して、横浜市全体に広げていただきたいと思います。

次に、地球温暖化対策について、
今年は、地球規模の環境問題に先駆的に取り組んでいく、環境モデル都市として、CO-DO30ロードマップのスタートを切る年にあたります。
21年度予算で、具体的なメニューと、予算の裏づけがされ、これからが
本当の勝負となります。具体的な施策をスピーディーに実施し、その効果をしっかりと検証し、着実に結果を出していっていただきたいと期待をします。
 「くらし」「しごと」「エネルギー」の各分野での取組みが予算化されていますが、特に、電動車両によるCO2削減事業、横浜型低炭素ものづくり促進事業、横浜グリーンバレー、太陽光発電促進のための固定価格買取制度の社会実験など、横浜のみならず日本全体の脱炭素社会への転換をリードする取組みになるものと期待します。やはり横浜市は、環境モデル都市の中でも、1番のモデルとなるべく頑張っていただきたいと思います。

 次に、横浜みどりアップ計画について、
 「横浜みどり税」をベースにした予算となりますが、透明度の高い、市民の納得する予算執行をお願いしたいと思います。そういう意味で、市民参加の組織による検証も大切であると考えます。情報を市民と共有し、みどり新税が市民に真の未来への投資として受け容れられるようにお願いしたいと思います。

 市として買い上げる場面がクローズアップされて議論がされる傾向にありますが、予算的には「買い取り」が大きな部分を占めるとしても、確保する緑地の多くは、これまでも展開してきた様々な指定制度や、農業支援など地道な取り組みによって守られているという事実を再認識すべきであるとも思います。
 最後の手段として買い取りも可能というみどり税の効果をもって、各種みどり施策をさらに展開、発展させて、かけがえのない緑の確保、さらには生物多様性の保全、再生へとつなげていっていただきたいと思います。

 最後に、子育て支援施策についてですが、
 認可保育所の整備について、中期計画に基づいて、来年度も14箇所、747人の定員を確保するべく、着実に整備を進めるとしています。一方で、本市では、保育所への入所申込率が年々増加し、待機児童が増える中で、来年度、新規での、横浜保育室整備費助成事業や、通園バス購入助成事業、また、家庭保育福祉員の認定も拡充。そして、認可保育所、横浜保育室、家庭保育事業のすべてで、第3子目以降を無料とし、保護者負担の軽減につとめるなど、予算が厳しい中でのこれらの取組は大いに評価します。
 また、目立ちませんが、障害児保育、一時保育、休日保育、病児保育など、多様な保育ニーズに対応するそれぞれの施策についても、拡充していることについても評価を致します。

 以上、21年度の予算についての考えの一端を述べさせていただきましたが、現段階の財政見通しによりますと、22年度も、仮に「市税等で償還する特別会計・公営企業会計の市債」の過年度の発行枠の残額の一部を、一般会計の発行計画額に上乗せしないとすると、約310億円の収支不足が見込まれています。引き続き「持続可能な行財政の確立」に向けて、徹底した行財政改革を行っていただきたいと思います。

 最後に、中田市長の所信表明の最後のくだりを引用させていだきますが、「今、まさに世の中の環境が大きく変化している中にあって、置かれた時代環境を肯定し、前向きに挑戦をするか?」という問いに対し、「イエス」と答える、明るく、前向きな「チーム横浜市役所」であってほしいと願い、
私の賛成討論を終わります。ありがとうございました。


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